ダイズ発芽過程におけるトリプシンインヒビターのC末端アミノ酸欠落と活性変化
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概要
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Kunitzトリプシンインヒビター(KSTI)は発芽過程で減少し,そのことはダイズ種子タンパク質量を低下させる大きな要因ともなっている.本報では,ダイズ品種トヨコマチおよびワセコガネを供試し,発芽過程における子葉内のKSTIのC末端アミノ酸欠落と阻害活性との関連性を検討した.両品種におけるKSTIのタイプは,ゲノムDNAと部分アミノ酸配列を基にPCR産物を増幅させ,その塩基配列より決定した.トヨコマチKSTIはT_1^bタイプ,ワセコガネKSTIはT_1^bタイプであった.両品種とも発芽4日目の子葉KSTIは,native-PAGE上で1つから2つのバンド,すなわちトヨコマチはT1とT2に,ワセコガネはW1とW2に分離された.一方,DNA配列との比較により,native-PAGE上で移動度の大きいT1,W1ではC末端アミノ酸が13残基,移動度の小さいT2,W2ではC末端アミノ酸が14または15残基欠落していた.さらに,移動度の小さいKSTI(T2,W2)は,移動度の大きいKSTI(T1,W1)より高い阻害活性を示した.したがって,発芽過程においてT1またはW1はC末端アミノ酸がさらに欠落し,活性部位の構造が変化し,native-PAGE上で移動度の異なるT2,W2となり,阻害活性が上昇したと推測された.
- 日本作物学会の論文
- 2002-03-05
著者
-
菅原 誠
東京農大生物産業
-
渡部 俊弘
東京農業大学生物産業学部食品科学科
-
渡部 俊弘
東京農業大学
-
桃木 芳枝
東京農業大学農学部
-
桃木 芳枝
東京農大生物産業
-
菅原 誠
東京農業大学
-
桃木 芳枝
東京農業大学大学院生物産業学研究科
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