緑茶カテキンがヒト口腔扁平上皮癌細胞株の増殖とテロメラーゼ活性に及ぼす影響
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概要
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高分化型のHSC-4細胞と低分化型のHSC-3細胞の2種類の口腔扁平上皮癌細胞株を用いて, 緑茶の成分であるカテキンとくに(-)-epigallocatechin-3-gallate (EGCG)と(-)-epicatechin (EC)による細胞増殖抑制効果, テロメラーゼ活性およびMMP活性への影響について検討した.HSC-4とHSC-3細胞に各種濃度のEGCGとECを添加し, それぞれの細胞増殖能をトリパンブルー排出法で, またテロメラーゼ活性をtelomeric repeat amplification protcol (TRAP法)で検討した.さらにhuman telomerase-associated protein 1 (hTEP 1)とhuman telomerase reverse transcriptase (hTERT) mRNAの発現, MMP 1, 3および9mRNAの発現をRT-PCR法で検討した.その結果HSC-4とHSC-3細胞にECを添加しても両細胞の増殖は抑制されなかったが, EGCGを添加すると時間および濃度依存性に抑制された.またEGCGとECを同時添加すると両細胞の増殖は相乗的に抑制された.HSC-4細胞のテロメラーゼ活性はEGCG添加により濃度依存性に抑制されていたが, HSC-3細胞のテロメラーゼ活性は抑制されなかった.またEGCGとECの同時添加によりHSC-4細胞のテロメラーゼ活性は相乗的に抑制されていた.この時HSC-3細胞のhTERT mRNAおよびMMP-9 mRNAの発現に明らかな差を認めなかったのに対し, HSC-4細胞ではともに発現が抑制されていた.以上のことより, 緑茶カテキンは高分化型口腔扁平上皮癌細胞株の増殖とテロメラーゼ活性を抑制することが判明し, またその抗腫瘍効果にMMP-9の関連していることが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 2001-03-25
著者
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森田 章介
大阪歯科大学口腔外科学第1講座
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覚道 健治
大阪歯科大学口腔外科学第二講座
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森田 章介
大阪歯科大学歯学部口腔外科学第一講座
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後藤 基宏
大阪歯科大学口腔外科学第二講座
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覚道 健治
大阪歯科大学 口腔外科学第二講座
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森田 章介
大阪歯科大 口腔外科学第1
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