殺菌剤グアザチンのナシ黒斑病菌に対する作用機構
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概要
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グアザチン酢酸塩のA. kikuchianaにおけるタンパク質, DNA, RNA, 細胞壁, キチンおよび脂質の各生合成系と, 菌体の酸素消費に及ぼす影響について検討した.酢酸グアザチンの50%菌糸生育阻止濃度である10 ppmで, タンパク質, DNA, RNAおよび細胞壁キチンへの, それぞれ[U-^<14>C]タンパク質加水分解物, [2-^<14>C]チミジン, [2-^<14>C]ウリジンおよび[1-^<14>C]D-グルコサミンの取込みはほとんど阻害されなかった.細胞壁への[U-^<14>C]D-グルコースおよび[1-^<14>C]酢酸の取込みは, 酢酸グアザチン10 ppm処理90分後に若干の阻害を示したにすぎなかった.一方, 脂質分画への[U-^<14>C]D-グルコース, [1-^<14>C]酢酸および[メチル-^<14>C]L-メチオニンの取込みは, 酢酸グアザチン10 ppm処理で著しく阻害された.また, TLCによる単純脂質および複合脂質各分画の比率値の結果から単純脂質に取込みの阻害が認められた.A. kikuchiana菌体の酸素消費は, 酢酸グアザチン10 ppm処理でほとんど阻害されなかった.これらの結果から酢酸グアザチンのA. kikuchianaに対する第一次作用点は, 単純脂質生合成系にあると考えられる.
- 日本農薬学会の論文
- 1984-08-20
著者
-
松中 昭一
神戸大学農学部・植物防疫学科・農薬学講座
-
切貫 武代司
神戸大学農学部農薬学研究室
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松中 昭一
神戸大学農学部
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切貫 武代司
神戸大学農学部
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八倉 康二
大日本インキ化学工業株式会社バイオ技術1グループ
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