アルテリシジンの Alternaria kikuchiana および Ustilago maydis に対する代謝経路上での作用点の検索
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概要
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アルテリシジン複合体(AC)はPseudomonas cepacia KB-1が生産する抗かび性抗生物質であるが, その作用機構をおおまかに把握するために, Alternaria kikuchiana(ナシ黒斑病菌)およびUstilago maydis(トウモロコシ黒穂病菌)を用いて実験を行なった結果を報告する.両糸状菌における乾燥菌体重の増加はAC処理直後から抑制され, とくにU. maydis小生子の生育は8 ppmで完全に阻害され, 菌体重の減少が認められた.A. kikuchiana菌糸の基質呼吸および自家呼吸はAC 5∿25 ppmではほとんど影響されなかったが, 50 ppmでは50%程度抑制された.またラット肝ミトコンドリアの酸素消費はAC 4 ppmでまったく影響されなかった.両菌のタンパク質, RNAおよびDNA各分画への^<14>C-タンパク質加水分解物, ^<14>C-ウリジンおよび^<14>C-チミジンの取込み, およびA. kikuchiana菌糸細胞壁分画への^<14>C-グルコースの取込みはAC処理直後から阻害された.その阻害程度は各分画成分によって若干異なった.しかしこれら^<14>C-基質の細胞内各成分への取込み率と細胞そのものへの取込み率とを無処理対比値で比較すると, 両者間でほとんど差が認められなかった.また両者とも取込み率の時間的経過にはほとんど変化がみられなかった.両菌に対する総脂質分画および細胞そのものへの^<14>C-酢酸ナトリウムの取込み率へのACの影響は少なく, むしろ総脂質はAC処理により増加の傾向を示した.以上の結果から両菌に対するACの第一次作用点が細胞膜に存在すると仮定して, 今後の検討を進めることが妥当と考えられる.
- 日本農薬学会の論文
- 1984-11-20
著者
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市場 常男
Aburahi Laboratories Shionogi & Co. Ltd.
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切貫 武代司
神戸大学農学部農薬学研究室
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片山 薫
京都大学農学部農薬研究施設:(現)宝酒造株式会社中央研究所
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市場 常男
神戸大学農学部
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切貫 武代司
神戸大学農学部
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