ナシ黒斑病菌における ^<14>C-アルテリシジンの吸収と分布
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概要
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ナシ黒斑病菌(Alternaria kikuchiana)における^<14>C-アルテリシジン複合物(^<14>C-AC)の吸収と分布について検討した.^<14>C-ACの生菌体および熱処理菌体への吸収は著しく早く, 処理後10分で平衡状態を示した.両菌体間における吸収の差は認められなかった.また, 脂質除去菌体の吸収は生菌体に比して著しく減少した.^<14>C-AC処理した菌体構成成分の各画分では, 生菌体および熱処理菌体ともに吸収された全放射能の80%以上が脂質抽出画分に存在した.また, 脂質抽出液をさらに脂質と非脂質に分画した時, 脂質抽出液の放射能の94%が非脂質画分に存在した.^<14>C-AC処理菌体の細胞壁分解酵素による分画において, 生菌体では吸収された全放射能の50%以上がβ-1, 3-glucanase可溶化画分に, 20∿30%が残渣に存在した.熱処理菌体ではβ-1, 3-glucanaseとpronase各可溶化画分にそれぞれ26%, 残渣に40%存在した.アルテリシジン複合物(AC)処理胞子をTween 80を含む殺菌水で洗浄しても発芽力の回復は認められなかった.以上の結果, ACは細胞に速やかに受動的に吸収され, 細胞壁と細胞膜の脂質部分に会合されることが示唆された.
- 日本農薬学会の論文
- 1986-11-20
著者
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