Alternaria kikuchiana によるポリオキシン A のとり込みに対するジペプチド類の拮抗作用
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概要
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ナシ黒斑病菌, Alternaria kikuchianaに対するポリオキシンAの抗菌活性は, その濃度より500倍高い濃度のグリシルーグリシン, グリシル-L-アラニン, グリシル-L-バリン, グリシル-L-ロイシンの存在によって失活した.しかしアミノ酸, ヌクレオシドはその作用を示さなかった.ポリオキシン類の第一次作用点であるキチンシンセターゼのポリオキシンAによる阻害は, これらのジペプチド, アミノ酸, ヌクレオシドによってまったく影響を受けなかった.A. kikuchianaポリオキシン感受性株による^3H-ポリオキシンA(19μM)のとり込みは, 10mMジププチド類によって80%阻害され, 同時に, ポリオキシンによる^<14>C-グルコサミンからの細胞壁キチン合成阻害は40∿80%回復した.LineweaverとBurkの作図法から, グリシルーグリシンによる^<14>C-ポリオキシンAのとり込み阻害は, 明らかに拮抗的形式を示すことがわかった.ポリオキシン類に対して異なる感受性を示すA. kikuchianaの種々の菌株を用いて実験したところ, ^<14>C-グリシルーグリシンの洗浄菌体へのとり込みは, ^<14>C-ポリオキシンAまたはBのとり込みと同じく, 耐性の程度が高くなるに従って減少した.しかし, ^<14>C-アミノ酸混合物, ^<14>C-ウラシル, ^<14>C-グルコサミンのとり込みは, ポリオキシン感受性とはまったく関係がなかった.^<14>C-ポリオキシンAと^<14>C-グリシル-グリシンのとり込みは, ともにEDTA, ラウリル硫酸ナトリウム, 数種の代謝阻害剤, 金属イオン, pHなどによって同じ影響を受けた.以上の結果から, ポリオキシンAはジペプチド類と同じ透過系によって細胞内にとり込まれると推測される.そのため, 高濃度のジペプチドはポリオキシンの透過を阻害し, 細胞内の第一次作用点におけるその濃度を低下させるのであろう.
- 日本農薬学会の論文
- 1977-05-20
著者
-
見里 朝正
The Institute of Physical and Chemical Research
-
柿木 和雄
The Institute of Physical and Chemical Research
-
堀 正大
Kaken Pharmaceutical Co., Ltd.
-
堀 正大
科研化学株式会社中央研究所
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