有機リン殺虫剤プロチオホスの活性化における酸化的グルタチオン抱合とその役割
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概要
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プロチオホスオキソン1のS-オキシド2とグルタチオン(GSH)のS_N2反応を計算化学で検討し, GS(EtO)P(O)OC_6H_3Cl_2とPrS(O)(HO)P(O)OC_6H_3Cl_2(脱エチルS-オキシド3)が2の(R)p配置からのみ生成することを予測した.一方, 1を酸化条件下で抵抗性イエバエの部分精製グルタチオンS-転移酵素(GSH)と反応させると2, 4-ジクロロフェニルリン酸が検出され, 3がin vitro反応でも生成することが分かった.脱エチルオキソン4のLD_<50>は感受性イエバエで55ng/♀, 抵抗性イエバエで110ng/♀で, 牛赤血球アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を酸化的に阻害する(I_<50>, 2.8×10^<-5>M)ことから, 3も活性体であることが示唆された.3は2のAChE阻害構造がagingを受けた時のリン酸基に相当するが, agingほど時間がかからずAChEを阻害すると考えられる.すなわち, 2のエチル基がGSHに抱合されて3を生成し, 2と共にプロチオホスの殺虫活性を発現する可能性を示唆した.
- 日本農薬学会の論文
- 2005-02-20
著者
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宮本 徹
東京農大・生物応用化学
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箕川 剛
東京農大・生物応用化学
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箕川 剛
Department of Applied Biology and Chemistry, Tokyo University of Agriculture
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宮本 徹
Department of Applied Biology and Chemistry, Tokyo University of Agriculture
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宮本 徹
Department of Agricultural Chemistry, Tokyo University of Agriculture
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