有機リン殺虫剤プロチオホスのイエバエ腹部グルタチオンS-転移酵素6Bによる新奇抱合反応
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概要
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感受性高槻系,抵抗性八千代系イエバエ腹部グルタチオンS-転移酵素(GST)分子種6A,6Bの遺伝子をクローニングし大腸菌内で発現させた。イエバエ腹部GST分子種6Bは,6Aと同様にプロチオホスオキソンに対してグルタチオン(GSH)のアルキル抱合を担うが,6Aと異なるのは抵抗性由来のGST/6Bの方が感受性由来のGST6Bより脱エチル体の生成量が約12と少なく,解毒化への抱合反応を抑制していた。また,in vitroの酸化的GSH抱合反応はGST6Bが新奇なGSH抱合反応を少なくとも一つ担うことを示唆した。プロチオホスオキソンS-オキシドのGSHとの反応をBioMedCACheを用いた計算化学において予測した。一つはGS^-のリン原子へのSN2反応,もう一つはGS^-のエトキシル基のメチレン炭素原子へのSN2反応であった。十分な証拠に欠けるがGST6Bの存在がイエバエの抵抗性発現を抑制するのに重要な役割を演じているかもしれない。
- 東京農業大学の論文
著者
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宮本 徹
東京農大・生物応用化学
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宮本 徹
東京農業大学農芸化学科
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箕川 剛
東京農大・生物応用化学
-
須恵 雅之
東京農大・生物応用化学
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箕川 剛
東京農業大学農学研究科農芸化学
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須恵 雅之
東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科
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宮本 徹
東京農業大学大学院農学研究科農芸化学専攻:東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科
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宮本 徹
東京農業大学名誉教授
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