韓国済州島における過去3万年間の風成塵とモンスーン変動(<特集>レスと風成塵)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
韓国,済州島にある西帰浦マールには厚さ9.4mの泥炭,シルト,粘土が堆積している.最下部の年代が29,128 cal.yrs.BP.で,この堆積物は酸素同位体ステージMIS 3から現在までに堆積したものである.堆積速度は29〜25kaは0.58mm/年で,6〜25kaは0.3mm/年である.堆積物のうち無機物はほとんどが60μm以下の細粒物質からなり,マールに流れ込む水系がないことと,ESR信号強度の結果を総合すると,ほとんどが風で運ばれた風成塵からなると考えられた.無機物の堆積量はMIS 3の30〜24kaは0.3〜0.85g/cm^3,MIS 2の24〜14kaは0.23〜0.6g/cm^3,14ka以降は0.01〜0.32g/cm^3へと急減する.堆積量はIs-4,Is-3,Is-2,Is-1,プレボレアル,アトランテイックなどの温暖期には少なく,H2,LGM,H1,新ドリアス期,ボレアル期,8.2kaイベントなどの寒冷期に多く堆積している.中央値MDは6-17μmであり,鋸歯状に変動する.MDが荒い時期はH2,LGM,H1,YD,Borealといった寒冷期であり,逆に上述の温暖期に細粒化する.寒冷期には冬季モンスーンが強く,粗い風成塵が運ばれ,温暖期には夏季モンスーンが強くなり,温潤化したことを示唆している.MDの粗粒化は徐々に,細粒化は急激に起こることから気候の寒冷化は徐々に進行し,温暖化は急激に起こったことを示唆する.ESR信号強度はMIS 3において9.6以上と高く,北方アジア大陸から強い北西季節風によって運ばれたことを示し,25ka以降,その数値は2.6-5.8へと低くなる.25kaから海水準が低下し,第三紀岩が広く分布する東シナ海の大陸棚が陸化し,そこから舞い上がった風成塵が済州島に運ばれたことを意味する.
- 日本地形学連合の論文
- 2002-12-25
著者
-
福澤 仁之
東京都立大学理学部地理学科
-
金 文洪
済州大学校自然科学大学生命科学科
-
竹村 恵二
京都大学大学院理学研究科
-
成瀬 敏郎
兵庫教育大学総合学習系
-
北川 浩之
Graduate School Of Environmental Studies Nagoya University
-
北川 浩之
名古屋大学
-
矢田貝 真一
兵庫教育大学大学院博士課程
-
竹村 恵一
京都大学理学研究科附属地球熱学研究施設
-
成瀬 敏郎
兵庫県教育大学地理学教室
-
福沢 仁之
東京都立大学理学部地理学教室
-
安田 喜憲
国際日本文化研究センター
-
福沢 仁之
北海道大学理学部地質学鉱物学教室
-
金 文洪
済州大学校自然科学大学
-
福澤 仁之
東京都立大学
-
福沢 仁之
東京都立大・理
-
福沢 仁之
都立大・地理
-
福澤 仁之
首都大学東京都市環境学部
-
竹村 恵三
京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設
-
成瀬 敏郎
兵庫教育大学
-
矢田貝 真一
大垣女子短期大学
-
安田 喜憲
広島大・総合科学
-
安田 喜憲
広島大
-
成瀬 俊郎
兵庫教育大
-
福沢 仁之
都立大・理・地理
-
福沢 仁之
東京都立大
-
福澤 仁之
東京都立大学大学院理学研究科地理科学専攻
-
福澤 仁之
東京都立大・理・地理
-
福澤 仁之
都立大 ・ 理 ・ 地理
-
安田 喜憲
国際日本文化研究セ
-
福澤 仁之
首都大学東京都市環境学部都市環境学科地理環境コース
-
Phan Ton
岩手大学農学部
-
安田 喜憲
国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学文化科学研究科
-
福澤 仁之
東京都立大学理学部
関連論文
- 韓半島と九州北部および周辺島嶼の森林群落の種組成と分布に関する比較研究
- はじめに
- 韓国南東部・蔚山断層帯北部の古地震活動--慶州市葛谷里における第2次トレンチ調査
- 桑名断層のP波浅層反射法地震探査 : 2000年員弁川測線
- 西南日本の鮮新世以降のテクトニクス--近畿地域の盆地形成と関連して (特集 日本列島の6Ma以降のテクトニクス)
- 自然教育園の泥土の花粉分析的研究(II)
- Environmental magnetic record and paleosecular variation data for the last 40kyrs from the Lake Biwa sediments, Central Japan
- 韓国済州島における過去3万年間の風成塵とモンスーン変動(レスと風成塵)
- 韓国済州島の風成塵堆積と過去3万年間の古環境変動
- 福井県蛇ヶ上池湿原における過去14000年間の環境変遷
- 年縞湖沼堆積物から復元された三方湖とその周辺の最終氷期最寒冷期の古環境変動
- P61 姶良火砕噴出物にみられる鉛直組成変化(ポスターセッション,日本火山学会2006年秋季大会)
- P57 九州-琉球弧第四紀マグマの島弧縦断方向化学変化傾向(ポスターセッション,日本火山学会2006年秋季大会)
- O-61 大阪堆積盆地の沖積層の地質特性(堆積環境)と土質特性の相関性について(7.沖積層研究の新展開,口頭発表,一般講演)
- 濃尾平野における沖積層基底礫層(BG)および熱田層下部海成粘土層の年代 : 臨海部ボーリング・コアのテフラ分析に基づく成果
- 大分県日出地域に露出する敷戸および由布川火砕流堆積物のフィッション・トラック年代
- P-278 最新地盤情報から見た濃尾平野臨海部の地下地質 (3) : テフラ・珪藻分析に基づく成果
- 中国, 蘭州のレス堆積物のルミネッセンス年代測定
- 近畿地方の活断層トレンチ掘削調査
- 野島断層1, 800m孔掘削コアに見られる破砕帯外縁部の産状
- 野島断層500m孔掘削コアに見られる断層ガウジ帯の産状と組織構造
- 火山灰稀産地域における, ほぼ同一時期に形成された河成段丘面の分布形態の比較
- 山地斜面におけるピット調査から推定された琵琶湖北方, 駄口断層の活動履歴
- 山地斜面におけるピット調査 : 活断層の最新活動時期解明手法としての有効性と問題点:駄口断層を例として
- 三峠活断層系, 殿田断層世木林地区のトレンチ調査と最近の活動履歴
- 韓国慶州市葛谷里における蔚山(活)断層のトレンチ調査
- 丹波高地南西部, 殿田断層のトレンチ調査と最近の断層運動
- 反射法地震探査の断面に見られる有馬-高槻構造線に沿う地溝帯
- 日本における花崗岩地域の地形分析 : ArcViewを使用した空間解析
- 50mメッシュDEM陰影図による活構造の抽出
- DEMを利用した活構造の抽出基準
- 400 近畿における代表的な変動起伏の DEM (Digital Elevation Model)を用いた解析
- 2次元重力解析より推定された京都盆地における未固結堆積層の密度 : 堀川-巨椋池測線および久世橋測線
- 琵琶湖1400mボーリングコア中のテフラ対比の再検討(29.第四紀地質)
- 兵庫県神戸市で発見された三瓶火山起源のテフラ
- 琵琶湖における過去5万年間の火山灰と堆積物
- 花粉による琵琶湖など長期スケールの湖沼堆積物からの古気候復元の現状と課題
- 琵琶湖1400m掘削試料の編年 : フィッション・トラック年代とテフラ同定の再検討
- 特集号「古環境変動の解明へ貢献する湖沼堆積物の役割」の趣旨
- 3. 地盤調査(その1)(関西国際空港の建設と地盤工学的諸問題)
- O-147 別府湾北岸地域における第四紀応力場の多重逆解法による解析
- 震災調査の種類と概要(C.地震と地盤災害-兵庫県南部地震の教訓-)
- 神戸空港建設プロジェクトにおける護岸と滑走路の耐震安全性の検討
- 91. 九州北西部の橘湾における音波探査とピストンコアリングによる海底活断層活動履歴の復元
- 年縞堆積物を用いた白頭山-苫小牧火山灰(B-Tm)の降灰年代の推定
- 別府-万年山断層帯西部地域で確認された完新世の断層活動
- 大分平野に伏在する活断層の活動履歴
- P-31 長崎県大村湾の海底堆積物コアの磁気的性質
- 琵琶湖の堆積物を用いたモンスーン変動の復元 : ミランコビッチ=クズバッハ仮説の矛盾と克服
- 琵琶湖の堆積物を用いたモンスーン変動の復元--ミランコビッチ=クズバッハ仮説の矛盾と克服 (第四紀後期の気候変動と地球システムの挙動--その原因とメカニズムの解明に向けて 特集号)
- 日本列島暖温帯の表層花粉整備 : 第四紀後期の間氷期の古気温復元精度向上
- 野島断層掘削の意義・課題と現状--コア解析に関連して (総特集 断層解剖計画) -- (2部 ボーリングコア解析からみた野島断層)
- 最終氷期以降の堆積物に記録された環境変動と人間活動の歴史
- P-178 和歌山沖中央構造線海底活断層の分布形態と活動履歴
- 琵琶湖西岸断層帯北部上寺断層の活動による河成段丘の隆起
- 韓国済州島におけるハマボウとハマナツメの分布と生態
- 淡路島北西部野島周辺の大阪層群の火山灰層のフィッション・トラック年代
- 濃尾平野西縁部に位置する宮代断層の活動について
- 8.コメント : 地球環境の変遷と文明の盛衰 : 人間活動に対する気候変動の影響(2005年度春季大会シンポジウム「地球環境の進化と気候変動」(地球環境問題委員会共催)の報告)
- 濟州島,漢拏山のイワウメ群落に関する植物社会学的研究
- A38 由布・鶴見火山群のマグマ起源(その2) : 微量元素およびSr,Nd,Pb同位体組成による制約(火山の岩石学(2),日本火山学会2006年秋季大会)
- 琵琶湖の堆積物を用いたモンスーン変動の復元 : ミランコビッチ=クズバッハ仮説の矛盾と克服
- O-407 琵琶湖における過去 4 万年間の環境変動に対する珪藻群集の応答
- P25. 関西圏における地盤情報データベースの活用と地層分布の解釈(一般調査,地質構造,ポスターセッション)
- O-113 海底洞窟堆積物の研究(14. 堆積相と堆積システム・シーケンス)
- 21世紀の琵琶湖--琵琶湖の環境史解明と地球科学 (総特集 21世紀の琵琶湖--琵琶糊の環境史解明)
- S-92 沖積層の堆積環境の地域性とシークェンスモデルについて((11)沖積層研究の新展開-地質学と土質工学・地震防災との連携-,口頭発表,シンポジウム)
- 重力異常からみた活断層・地震断層・地殻変動 (総特集 活断層・古地震とアクティブテクトニクス) -- (4章 活断層・アクティブテクトニクスの調査手法)
- 活断層活動性評価の基礎としての高精度堆積物分析 (総特集 活断層・古地震とアクティブテクトニクス) -- (4章 活断層・アクティブテクトニクスの調査手法)
- ボーリングデータベースを用いた大阪堆積盆地(大阪湾岸域〜大阪平野)の堆積環境と表層構造 (総特集 活断層・古地震とアクティブテクトニクス) -- (4章 活断層・アクティブテクトニクスの調査手法)
- 桑名断層を挟んだ沖積層に記録された古地震イベント (総特集 活断層・古地震とアクティブテクトニクス) -- (3章 活断層の古地震学・地震時の挙動)
- 糸魚川-静岡構造線活断層系活動史の再検討--牛伏寺断層中山トレンチと諏訪湖底ボーリングの詳細解析 (総特集 活断層と古地震--1999年合同学会の発表を中心に) -- (断層の活動歴と古地震)
- P-279 オホーツク海南西部における最終氷期最寒冷期以降の古海洋変動(32. 第四紀地質)
- O-171 オホーツク海南西部における完新世後期の海洋環境の復元
- 鳥取県東郷池の年縞堆積物からみた完新世中期の海水準変動
- 鳥取県東郷池湖底堆積物の層序と年縞
- 濟州島,漢拏山のイワウメ群落に関する植物社会学的研究
- レス・湖沼堆積物記録からみたアジアモンスーンと氷期-間氷期サイクルの関係(ヒマラヤ-チベットの隆起とアジア・モンスーンの進化, 変動)
- O-414 雲南省エルハイ湖湖底堆積物に記録された最終間氷期以降のモンスーン変動
- 中国のレス : 古土壌堆積物を用いた古降水量の定量復元に基づく最終氷期以降の環境変遷
- 中国, 甘粛省蘭州におけるレス - 古土壌堆積物から復元した最終氷期 - 完新世の夏季モンスーン変動
- 晩氷期-完新世の気候・海水準などの環境変動の変動速度について -湖沼年縞による復元-
- 汽水湖底堆積物の採取・分析方法とその最近の進歩
- 済州島漢拏山と対馬山地のチョウセンヤマツツジ群落
- バイオマイゼーション (Biomization) 法を用いた日本列島の過去2万年間のバイオーム分布復元 : (I)九州
- 湖沼年縞堆積物による中世温暖期以降の気候変動と登山活動の関係史 (総特集 歴史時代の気候変動と自然災害--太陽活動,火山噴火との関連をさぐる)
- O-257 立山みくりが池年縞堆積物による過去2,850年間の環境変動(32. 第四紀地質)
- O-415 日本列島における更新世後期以降の気候変動のトリガーはなにか? : Indo-Pacific Warm Pool の役割
- 日本列島における更新世後期以降の気候変動のトリガーはなにか? : チベット高原とWest Pacific Warm Water Poolの役割
- 最終氷期以降の琵琶湖の湖水位・汀線変動 (総特集 21世紀の琵琶湖--琵琶糊の環境史解明)
- 第四紀後期の地球環境変動と湖沼・内湾・レス堆積物 (総特集 堆積物に地球環境変動を探る--地球環境と地質学)
- 中国レス堆積物のIRSL年代測定 (歴博国際シンポジウム 過去1万年間の陸域環境の変遷と自然災害史) -- (環境史の高精度編年)
- JABEEの概要ならびに審査手順について
- ポスター発表はなぜ重要か? (特集 表現力をつける)
- O-140 飛騨山脈の第四紀における隆起上昇過程 : 北部フォッサマグナの埋没続成作用の検討
- 日韓海峡域におけるダンギク(クマツヅラ科)の分布と生態
- 済州島漢拏山と対馬山地のチョウセンヤマツツジ群落
- 済州島と対馬の渓谷川岸おけるチョウセンヤマツツジ群落
- O-412 中国のレス・湖沼堆積物による最終氷期中の古降水量変動とミランコビッチフォーシング(34. 第四紀,口頭発表,一般講演)
- 中国の風成塵堆積物の放射化分析(平成16年度京大原子炉実験所専門研究会講演要旨,研究紹介)