地中海メカジキの人工授精とふ化

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メカジキは全世界の熱帯・温帯から時に寒帯の一部にまで広く分布し,地中海・黒海・紅海等へも入り込むことが知られている。地中海はマグロとその近縁種の産卵場であり,成熟した親魚の採捕と卵の入手の可能性が高いと考えられるので,筆者らはシシリー島北東海域でこれらの魚からの採卵を試みたところ,メカジキから卵が採取され,人工授精・ふ化・仔魚の輸送等の実験をすることができた。実験の基地をシシリー島のメッシナ水族館とレパリ島のホテルに置き,レパリー島から出漁する突きん棒漁船が採捕するメカジキから卵を搾り出し,これに同じく採捕した雄から精液を採取して,乾導法により人工授精した。人工授精は1978年6月25日と7月2日に漁場の船上で行い,7月1日には港で陸揚げ中のもので行ったが,採捕現場で行った場合の方が好成績であった。5月25日と7月2日の採捕時の漁場水温はそれぞれ,23.8℃と24.4℃,・比重(σ_<15>)は28.2と28.4で,人工授精に用いた雌は,それぞれ,全長185cmと315cm,雄は,全長195cmと290cm,であった。受精卵は直径1.53〜1.69mm, 1個の油球をもつ浮性卵で,リパリ島のホテルおよびメツシナ水族館へ輸送して,ポリエチレンバケツおよびコンテナーに収容管理したところ,6月25日採卵のものは,水温23.8〜24.4℃で受精後64〜74時間でふ化,7月2日採卵のものは,水温22.5〜23.6℃で65〜79時間でふ化した。ふ化率51.9%で約95,000の仔魚がぶ化し,その73.6%が正常形であった。ふ化直後の仔魚の全長は3.8mmであったが,ふ化後3日で口が開いで全長4.6mmとなった。現地のメツシナ水族館ではふ化後5日に全長5.Ommとなり,ふ化後9日まで生存した。
近畿大学の論文
1980-03-15

地中海メカジキの人工授精とふ化

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