Get-Passivesの意味論
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概要
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本稿は、生成文法理論における記述的・説明的妥当性の観点から、get-passivesの意味について論じたものである。よく知られた事実であるが、(1)のようなget-passivesは、(2)のような通常のpassivesに比べて使用範囲がいちじるしく限定されている。(1) a. The child got killed by a car. b. The lesson got read by a choirboy. c. The letter got written by a poet. (2) a. The child waskilled by a car. b. The lesson was read by a choirboy. c. The letterwas written by a poet. [(1)-(2): Palmer (1987: 89)] 本稿では、(1)と(2)の対比が、Bolinger(1975)が提案している"true patient"という普遍的概念および英語のgetの意味から生じるという議論をする。特に、Kajita (1977、1997)が提唱している動的言語理論に基づいて、"true patient"とgetの意味との相互作用によってget-passivesの利用可能性が決まり、最終的にその文法性も決まるという提案を行う。このような方針に沿って、1節ではCollins(1996)に従って5種類のgel-passivesを概観し、それをMiyashita (1999)およびTime 1990のデータを用いて検証し、そこから5つの意味特性を抽出する。 2節では、意味論および動的言語理論の観点から、get-passivesの分析を試みる。最後に3節では、残された問題と今後の展望を行う。
- 宇都宮大学の論文
- 1999-10-01
著者
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