談話構造と前位修飾
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概要
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本論文は,英語において談話構造が形容詞等による名詞の前位修飾にどのような影響を与えるかを論じたものである 次の2つの例を見てみよう。(i) Because of its fast-growing economy, China saw a three-fold increase in urban development in less than 10 years. This rapid development has led to urban sprawl. (ii) Early in February, 2000, the Kobe District Court passed a ruling that the central government and the expressway corporation should reduce vehicle exhaust emissions in the city of Amagasaki in Hyogo Prefecture. People who suffered from pollution-related diseases were overjoyed at this first-ever court case. これらの例において,下線部の形容詞は名詞の前に置かれ、その名詞を限定・・分類する機能を果たしているが,そこには談話構造に関わる制約や統語的位置に固有な制約が働いている。すなわち,名詞の後ろでなく前に置かれるのは,先行文脈との関係で既知情報を表すためであり,統語的位置としても限定・分類機能にふさわしいからである。なお,談話構造の制約はすべての前位修飾に適用されるわけではない。最後に,このような談話構造によって駆動される前位修飾は,たとえばretarded classroomsのような合成性の原理に完全には従わない表現が,語用論的に条件を満たせば容認可能となるという可能性を与えることも示唆した。
- 宇都宮大学の論文
- 2003-03-01
著者
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