手洗い:Hand antisepsis の言葉の枠組みに関する検討
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概要
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病院感染制御における手洗いは、感染経路を遮断する基本的看護技術として重要視されている。易感染患者への対応場面や感染リスクの高い医療・看護場面における「衛生学的手洗い」の表現が、APICやCDCの勧告やガイドラインに見当たらないことに気づき調査を行なった。その結果、「衛生学的手洗い」は、その手洗いの目的から判断してAPIC手洗いガイドラインの「手指消毒:Hand antisepsis」に相当することがわかった。同時に、衛生学手洗いの方法として紹介された「Donowitz L.G.の図」も、同様にAPICやCDCに見当たらなかった。これらは、いずれも手洗いの重要性を喚起し多くの医療従事者にイメージしやすいように工夫された名称であることが明らかになった。衛生学的手洗いの表現は長く使用されていたが、漸次「手指消毒」の表現を目にするようになり、「手指消毒」として共通認識されるようになった。「Donowitz L.G.の図」は、洗い残しのない手洗い方法として普及し、現在ではTaylorの実験結果を反映して不足していた手首のもみ手洗いを加えたり、手拭きの図も組み込んだりしたものになった。今回の調査から、病院感染制御教育において手洗いに求められる、即ち洗い残しがないことおよび手指に付着菌がないことの基本的事項を明確にすることができた。
- 県立長崎シーボルト大学の論文
著者
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西 典子
県立長崎シーボルト大学看護栄養学部看護学科
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田中 洋子
県立長崎シーボルト大学看護栄養学部看護学科
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片穂野 邦子
県立長崎シーボルト大学看護栄養学部看護学科
-
片穂野 邦子
県立長崎シーボルト大学
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