喉頭摘出患者の失声の受け入れに関する検討 : Profile of Mood States, Self-Esteemの分析から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,喉頭摘出患者の手術前後における失声の受けとめ方と認識について明らかにし,手術前後の情緒状態及び自尊感情の側面を含め失声の受け入れに対する看護援助について考察することである。喉頭摘出予定患者を対象に,手術前後の計2回,半構成面接と気分プロフィール検査(POMS),Self-Esteem質問紙(SE)を用いて自己記入式質問紙調査,看護記録からのデータ収集を行った。面接内容についてコード化・カテゴリー化し,手術前後のPOMS得点及びSE得点を検討し,以下の結果を得た。1)患者は,告知以後,失声による不安や悲しみといった脅かしの中で喉頭摘出術を自己決定し,手術前から失声への心の準備がされたことで,手術後失声という現実を冷静に受けとめ,第二の人生に向けて前向きな態度がみられた。2)失声の受け入れは,患者の人生における対人関係やコミュニケーションの程度,社会的役割や趣味,職業,性格等が影響していた。3)POMS得点は,「抑うつ-落ち込み」「混乱」が,手術前に比べ手術後に低値を示した。4)自尊感情を示すSE得点は,手術前後において著名な変化はみられなかった。以上の結果から,喉頭摘出患者が早期に失声を受け入れ,社会復帰するための看護援助は,(1)手術の自己決定を含め,手術前から失声に対する心の準備状態を把握し,手術後の心理変化を捉え共有すること,(2)人生における職業や社会的役割,趣味,性格等から,コミュニケーション障害の重みを共有すること,(3)患者の置かれた状況をフィードバックし,人生のあり方を共に考えるコミュニケーションが必要である。
著者
-
藤野 文代
岡山大学医学部保健学科
-
布施 裕子
群馬県立がんセンター
-
藤野 文代
群馬大学保健学科
-
廣瀬 規代美
群馬県立医療短期大学
-
藤野 文代
群馬大学医学部保健学科
-
廣瀬 規代美
群馬大学大学院医学系研究科
-
布施 裕子
群馬県立がんセンター看護部
関連論文
- 子どもを持つ乳がん患者が抱く希望
- 乳がん患者のボディ・イメージの変容と感情状態の関連
- 13. 初めて放射線治療を受けるがん患者の気持ちとストレス対処行動に関する質的研究(第32回群馬放射線腫瘍研究会抄録)
- 初めて放射線治療を受けるがん患者の気持ちとストレス対処行動に関する質的研究
- PS-175-1 ブレストケア・ファイル運用の現状と効果の検討
- 3.乳がん患者のサポートグループに関するニーズ調査(患者支援,セッション1,第39回埼玉・群馬乳腺疾患研究会)
- 健康教育の継続的効果の評価に関する研究 : 農村地域における高脂血症者を対象とした健康教室の実施を通して
- 地域住民の内臓脂肪レベル
- 自家抹消血幹細胞移植患者におけるSATI・危機モデルに基づいた看護の検討 : クリーンルーム入室前後の分析
- 乳がん患者のボディ・イメージの変容に影響する要因--年齢、婚姻状況、職業、術式による分析
- 女性生殖器がん患者の家族内役割への思いとそれに対する看護援助
- 7. 女性生殖器がん患者の家族内役割への思いとそれに対する看護援助(メインテーマ: 〜がんとともに生きるがん患者・家族への支援〜, 第2回群馬がん看護フォーラム)
- 認識及び行動変容からみた喘息患者教育の効果
- 基礎看護実習中の学生のストレス1 : 心理的・身体的ストレス反応の経時的変化
- 成人看護実習生のストレス反応の時系列的変化
- 臨床看護実習における学生のストレス : 心理的・身体的ストレス反応の時系列的変動から
- 女子短大生における生活習慣と身体的・精神的健康度の比較検討
- 術後ICU入室患者の睡眠・休息障害に関する基礎的研究(第3報) : 覚醒指標回数と皮膚電位水準との関連
- 術後ICU入室患者の睡眠・休息障害(第2報) : 皮膚電位水準による量的分析を通して
- 喉頭摘出患者のボディイメージの受容プロセス : 喉頭摘出術前〜退院後1か月の変化
- 成人看護学実習におけるグループによる集団患者教育の学び : 学生のレポートによる評価の分析
- 子どもを持つ乳がん患者が抱く希望
- 24.告知された余命期間が過ぎてからQOLの低下がみられた一例(一般演題,第15回群馬緩和医療研究会)
- 中高年看護婦におけるストレスと不安に関する研究 : 職位とSTAIによる161人の分析
- 基礎看護実習中の学生のストレス2 : 事前指導の効果
- 治療を自己決定できた高齢喉頭がん患者の一事例--臨床倫理検討シートを活用して (臨床倫理の実践 臨床倫理検討システム最新版--2004春)
- 大学生の死のイメージに関する研究 : TEG・Self-Esteem・身近な人の死の経験による分析
- HIV感染症に関する看護大学生の意識変化 : 講義前後の比較
- 喉頭摘出患者の失声の受け入れに関する検討 : Profile of Mood States, Self-Esteemの分析から
- 化学療法を受ける肺癌患者の心理的変化に関する研究 : Profile of Mood States (POMS),危機質問用紙による分析
- 喉頭摘出患者の喉頭摘出術の自己決定プロセスにおける看護援助
- 高齢癌患者のQOLに注目した看護ケアの検討 : 肝細胞癌患者5事例を通して
- 乳癌術後患者における危機とエゴグラムとの関係
- 利用者側から見たデイサービスの機能と有効性--利用者と家族の生活実態とデイサービス利用の効果
- 大学生のバーンアウトに関する研究 : PIL,Self-Esteem,タイプA尺度による分析
- 緩和ケア担当医療者の専門教育について
- 高齢者を対象とした在宅看護技術と援助活動の分析--群馬県K町の訪問指導を通して
- 乳癌患者の危機のプロセスと心理的適応に関する研究
- 周手術期患者における危機に関する検討
- 術後患者へのセルフケア理論の適用
- 乳がん患者の術前・術後におけるボディイメージの変化に応じた看護援助
- 在宅ターミナルケアを望んだがん患者の看護 : 訪問看護記録による訪問看護の分析
- 乳がん患者の術前・術後・退院後におけるPOMS と TEG, 疾患の受け止め方との関連
- 倫理的問題に直面した時の対応--看護倫理検討会の活動から (特集 看護倫理が医療を変える)
- 子宮切除患者 (ヒュ-マン・セクシュアリティと看護) -- (患者の性不安への対応--ク-ルでハ-トフルな対処法)
- 骨転移のため行動制限がある乳がん患者への看護の効果 : 患者・家族の意思決定とQOLを高めた援助の検討
- 看護婦のストレスに関する研究 : 緩和ケア病棟に勤務する場合
- 大学入学時のストレスと危機の研究 : セルフエスティーム, バーンアウト, タイプA尺度による分析
- カルガリー家族介入モデルを活用した看護ケアの検討 : 複数の疾患をもち直腸癌術後に硬膜下血腫を併発した事例を通して
- 床頭台の清潔に関する細菌学的検討 : 院内感染予防の視点から
- 健康成人の鼻腔内黄色ブドウ球菌検査(第一報)
- 在宅看護の現状とその効果 : 寝たきり老人等への保健婦による家庭訪問指導の内容分析から
- 回腸導管造設患者の周手術期におけるQOLと看護 : 壮年期女性と高齢男性膀胱癌患者2事例の検討
- 患者の意思決定を支える看護の役割に関する研究
- Discharge Cannot be Decided Daily Life Support for the Aged. Comparison of Patients Who What Discharge and Who don't.:COMPARISON OF PATIENTS WHO WANT DISCHARGE AND WHO DON'T