高等教育進学者における学習経験の同質性と多様性 : 関西と北陸の文科系学生を対象とする調査結果の探索的分析
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概要
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小論は,関西と北陸の7大学・短大の学生を対象に実施した質問紙調査の結果に基づいて,日本の高等教育進学者における学習経験の意味体系を探索する。すべての大学・短大の学生において,家庭教育の経験が相対的に乏しく,小学生時に習いごとに通い,中学生時以降に塾や予備校に通うという,共通した主要な学習経験のパターンがあることが明らかになった。そのような同質的な学習経験が共有される中で,設置者別,地域別,社会階層別にみると,主に周辺層の学生において多様なバリエーションが観察される。この社会的軌道の違いからなる関係性は,身体化され持続する文化的性向としてのハビトゥスを構成する,日本の学生生活条件の問題として理解することができる。In this paper, we explored a system of signification of learning experiences which humanity students answered in the questionnaire survey research at 6 universities and 1 junior college in Kansai and Hokuriku districts. We observed the principal pattern of experiences that family education was relatively low, extra-school activities grew prosperous at the time of elementary school, and many students attended juku-school after the entrance of junior high school. Around this homogeneity of leaning pattern, we also found the variety of social trajectories according to the institutions, areas and social origins. It follows from the homogeneity/ variety relation that cultural disposition of habitus is formed as social conditions of student life in Japan.
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