<原著>コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の既知組成培地に関する研究
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概要
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これまで使用してきたEHC培地において不明瞭な構成成分は, N源であるenzymatic hydrolyzate of caseinのみであることから, EHCに変えてcaseinを構成する18種のアミノ酸を用いて, 既知組成培地を作成した.削除法により培養に必須のアミノ酸14種(Arg, Asp, Glu, Gly, His, Ile, Leu, Met, Phe, Pro, Thr, Trp, Tyr, Val), 添加効果のあるアミノ酸3種(Ala, Lys, Ser), および阻害効果を示すアミノ酸1種(Cys)を決定することができた.必須アミノ酸と添加アミノ酸を組み合わせた8種の培地を作成し, 2種のcoagulase-negative staphylococci(S.epidermidisとS.capitisそれぞれ3菌株)の増殖性状, 増殖量および細胞形態を調べた.この結果, S.epidermidis3菌株ではAlaを含む4種の培地では浮遊増殖を示し, 増殖量が高かったが, Alaを含まない4種の培地においては, シャーレ底面に接着した増殖が見られ, 増殖量も低かった.これに対しS.capitis 3菌株では, すべての培地で浮遊増殖を示したが, Alaを含まない4種の培地において, S.epidermidisと同様に増殖量が低下する傾向が見られた.グラム染色をほどこした顕微鏡像により形態の比較を行ったところ, 両菌種ともAlaを含む4種の培地では正常なブドウの房状の形態を示したのに対し, Alaを含まない4種の培地では細胞の大疑集塊が形成されていた.以上の結果, 増殖量, 性状, 形態のいずれにも, Alaが重要な役割を果たしていることが示された.
- 川崎医療福祉大学の論文
- 2000-06-26
著者
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美祢 弘子
川崎医療福祉大学医療技術学部臨床栄養学科
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美祢 弘子
川崎医療福祉大・臨床栄養
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尾池 麗
川崎医療福祉大学医療技術学研究科臨床栄養学専攻
-
日笠 友美
川崎医療福祉大学大学院医療技術学研究科
-
日笠 友美
川崎医療福祉大学医療技術学研究科臨床栄養学専攻
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