葯培養により得られたイネの突然変異体
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概要
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石川県のイネの奨励品種であるコシヒカリ,加賀ひかり,能登ひかりの3品種を用いて葯培養を行い,再分化植物体に見いだされる突然変異体について調査した.葉耳間長5〜10cmの穂ばらみ期の穂を採取し,5℃の低温室に7〜10日間保存した後,葯を培地に置床した.カルス誘導培地はN_6培地を基本培地とし,これに2,4-D0.2mg/lとNAA1mg/lを加えた培地(N_6-1)か,2,4-D 2mg/lと酵母エキス1mg/lを加えた培地(N_6-2)を用いた.蔗糖および寒天はいずれも70g/lおよび8g/lとした.カルスからの植物体再分化にはN_6基本培地にNAA0.5mg/lとカイネチン1mg/l,蔗糖50g/l,寒天8g/lを加えた培地を用いた.染色体数の調査はA_1植物体(再分化当代植物)の根端細胞をギムザ染色したものについて行った.A_2世代はA_1植物体から穂別系統として採取したものを水田に栽培し,突然変異体出現の有無を調査した.置床葯に対するカルス形成葯の割合は全体的に低く,平均のカルス形成率は2.8%であった.カルスからの植物体再分化はN_6-2培地で得られたカルスの場合は植物体再分化率が18.7%で,N_6-1培地で得られたカルスの場合(2.5%)より高かった.再分化植物体の約半数はアルビノであった.また,再分化植物体の染色体数は半数体(30.3%),2倍体(64.8%),3倍体(3.5%),4倍体(1.4%)で2倍体が最も多く出現した.コシヒカリについて,90のA_1植物体から穂別系統としてA_2世代1242系統を栽培した.この中で突然変異体を生じた系統は68(5.5%)であった.これをA_1植物体のレベルでみると突然変異体を生じたのは28のA_1植物体で31.1%を占めた.有用な突然変異体としては早生,短稈などが,また出穂期,草丈,葉型,葉色,穂形,稔性などに関する多数の突然変異体が得られた.A_2世代において初めて確認される突然変異出現の様相は,A_1の1個体のすべての種子が同様の変異を示す場合と,穂別に変異する場合,1穂内で粒の違いにより変異するものと変異していないものが混ざって出現する場合などがあり,A_2における突然変異出現の状況を明らかにするためにはA_1のすべての穂を別の系統としてA_2世代の栽培をすることが重要であることが明らかになった.以上の結果から,葯培養はイネの突然変異育種にとって有効な一手段であることが示された.
- 石川県農業短期大学の論文
著者
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島田 多喜子
石川県農業短期大学農業資源研究所
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大谷 基泰
石川県農業短期大学農業資源研究所
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木庭 卓人
石川県立農業短期大学付属農業資源研究所
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島田 多喜子
石川県農業短期大学農業資源研究所遺伝資源第一研究室
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島田 多喜子
石川県農業短期大学植物細胞育種研究室
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木庭 卓人
石川県農業短大
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大谷 基泰
石川県農短大 農業資源研
-
新関 宏夫
石川県農業短期大学農業資源研究所遺伝資源研究室
-
新関 宏夫
石川県農業短期大学農業資源研究所遺伝資源第1研究室
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新関 宏夫
石川県農業短期大学
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- ACKNOWLEDGEMENTS
- SUMMARY
- CHAPTER IV : INTRA- AND INTERALLELIC INTERACTIONS FOR FIVE ALLELIC PAIRS
- CHAPTER III : ANALYSIS ON THE PLEIOTROPIC EFFECTS OF TEN MAJOR GENES ON 32 CHARACTERS
- CHAPTER II : CHROMOSOMAL LOCALIZATION OF SEVEN MAJOR GENES USING ANEUPLOIDS
- CHAPTER I : SCREENING OF MAJOR MUTANT GENES INDUCED BY ETHYL METHANESULPHONATE TREATMENT
- INTRODUCTION
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- コムギ葯培養における胚状体形成および再分化へのABAの効果
- サツマイモ品種"中国25号"の葉カルスからの高頻度植物体再分化