PFP(para-fluorophenylalanine)処理によるTriticum durumよりBゲノム植物を抽出する試み
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概要
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パンコムギ(Triticum aestivum,2n=6x=42,AABBDD)の3つのゲノムのうち,Bゲノムの祖先種だけがまだ見出されてない。本研究は,パンコムギと同じBゲノム染色体をもつ4倍性コムギTritium durum(2n=4x=28,AABB)からPFP処理によってBゲノムのみをもつ植物を抽出することを試みたものである。PFPは4倍性コムギの柱頭に自家受粉後6時間又は24時間後経な時点で処理された。できた種子を収穫,播種し,根端細胞で染色体数を調査した。573個体の内,3個体のみが染色体異常を示した。即ち,1個体は14本の染色体,1個体は2動原体染色体を1本もち,他の1個体は29本の染色体をもつていた。14本の染色体数をもつた植物体は減数分裂の観察により14本の1価染色体をもつていたことから,4倍性コムギの半数体でゲノム構成ABであることがわかった。次に,この半数体植物の幼穂からカルスを誘導し,PFPを含む培地で約9か月間培養した。PFP処理によって培養細胞では染色体数の変異が増していたが,PFPによる染色体減数の効果は明らかではなく,期待されたn=7という染色体が減数した単一のゲノムをもつ細胞は見出されなかった。以上の結果,Bゲノムの染色体のみをもつ植物は得られなかった。
著者
-
島田 多喜子
石川県農業短期大学農業資源研究所
-
木庭 卓人
石川県立農業短期大学付属農業資源研究所
-
島田 多喜子
石川県農業短期大学農業資源研究所遺伝資源第一研究室
-
島田 多喜子
石川県農業短期大学植物細胞育種研究室
-
木庭 卓人
石川県農業短大
-
新関 宏夫
石川県農業短期大学農業資源研究所遺伝資源研究室
-
新関 宏夫
石川県農業短期大学農業資源研究所遺伝資源第1研究室
-
新関 宏夫
石川県農業短期大学
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- ACKNOWLEDGEMENTS
- SUMMARY
- CHAPTER IV : INTRA- AND INTERALLELIC INTERACTIONS FOR FIVE ALLELIC PAIRS
- CHAPTER III : ANALYSIS ON THE PLEIOTROPIC EFFECTS OF TEN MAJOR GENES ON 32 CHARACTERS
- CHAPTER II : CHROMOSOMAL LOCALIZATION OF SEVEN MAJOR GENES USING ANEUPLOIDS
- CHAPTER I : SCREENING OF MAJOR MUTANT GENES INDUCED BY ETHYL METHANESULPHONATE TREATMENT
- INTRODUCTION
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