n-3系及びn-6系脂肪酸投与ラットにおける免疫能の動態について
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概要
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脂肪酸及び脂肪酸代謝物が生体の防御に密接に関与していることが明らかになってきている。しかしながら,生体防御機構において異物排除に初期の段階で対応する補体系の因子に及ぼす脂肪酸摂取の影響についての検討は少ない。そこで本研究では,ラットに飼料中の脂肪源油脂の濃度を変化させたものを投与し,補体系因子の観察と感染実験における生存率等の検討を行った。飼料用油脂には,n-3系脂肪酸の供給源として海産物由来油脂を,n-6系脂肪酸の供給源としてサフラワー油を,また,n-3系及びn-6系をいずれも含む大豆油を用いた。SD系雄ラット(4週齢)54匹を9群に分け,海産物由来油脂濃度5,10,15,20%食,サフラワー油濃度5,10,15,20%食及び大豆油濃度10%食の9種の飼料でそれぞれ3週間飼育し,採血をして実験に供した。補体系の免疫因子として,血清補体C3濃度,血清補体溶血活性(CH50)等を測定した。また,実験食飼育3週後に,海産物由来油脂各群と,大豆油群についてはStaphylococcus Aureus 209P菌を4×10^8/100gB.W.投与し,生存の状況を1週間観察した。その結果,補体C3濃度は海産物由来油脂群で有意差は認められないが,サフラワー油群に比しやや高値を示した。一方でCH50値は海産物由来油脂群がやや低値を示した。感染防御能については海産物由来油脂群は大豆油群に比べ生存率が高く,油脂濃度間での比較では,20%,10%,15%,5%の順で生存率が高かった。補体系の代表的な反応である細胞溶解反応と免疫粘着反応が,脂肪酸の質や量によって変動することが示された。
- 和洋女子大学の論文
- 2001-03-31
著者
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