窒素およびりん酸施用量と秋植サツマイモの養分吸収(農芸化学科)
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概要
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沖縄島に分布する灰褐色石灰質重粘土壌(ジャーガル)において窒素とりん酸の施用量が秋植サツマイモの窒素・りん酸・カリなどの吸収, および栽培跡地の窒素・りん酸・カリ含量におよぼす影響を調べる目的で実験を行なった。栽培実験を行なった土壌は琉球大学農学部農場(那覇市石嶺)の稲嶺統土壌で, 前報(9)の実験で得られたかずら, 塊根, 土壌サンプルなどを分析に供した。結果は次のとおりであった。収穫期(植付後5カ月目)のかずらの全窒素含有率は1.8∿2.2%の範囲にあり, 窒素およびりん酸の施用量によって影響は受けなかった。ただしかずらおよび塊根は窒素の増施によって収量が増加するのでそれに伴なって窒素吸収量が増加した。窒素吸収量は最大の場合でも施用窒素量(7kg N/10a)よりは少ないので施用窒素の大部分が作物に利用されていないと考えられた。栽培跡地土壌の全窒素含有率は表土で0.11∿0.14%, 心土で0.7∿0.12%であり, 栽培前の含有率と大差がなかった。またサツマイモ全植物体(かずら+塊根)によって吸収された窒素の量と栽培跡地の全窒素含有率との間には一定の関係がみられなかった。植付後5カ月目のかずらのりん酸含有率は窒素無施用の場合に0.91∿0.93%, 窒素多用(7kg N/10a)の場合に0.55∿0.58%であり, 窒素施用によりかずらのりん酸含有率は低下する傾向にあった。しかしりん酸施用量による影響は示されなかった。塊根のりん酸含有率は0.3∿0.4%で, 窒素とりん酸施用量の影警はみられなかった。サツマイモ全植物体によるりん酸吸収量は全ての処理区でりん酸施用量(3.5または7kg P_2O_5/10a)より少なかった。栽培跡地の表土の可給態りん酸含量は栽培前の含量と同じレベルであったが, 心土では処理区間に大きなばらつきがみられた。かずらのカリ含有率は植付後4カ月目で3∿3.5%, 5カ月目では2∿2.8%となり令による差が認められた。しかし窒素とりん酸施用量による影響はみられなかった。塊根のカリ含有率は1.2∿1.8%で, 窒素, りん酸などの施用量の影響, ならびに令による差は認められなかった。サツマイモ全植物体によるカリ吸収量は窒素施用量が多くなると増加しカリ施用量(7kg K_2O/10a)を上回った。栽培跡地の置換性カリ含量は表土, 心土ともに栽培前のレベルより低下した。今回の実験で得られたかずらの窒素吸収量, サツマイモ全植物体のりん酸およびカリ吸収量, および他のデータから推定される塊根の窒素吸収量などをもとにして, 秋植サツマイモの目標収量に対する窒素, りん酸, カリの必要施用量の指標図作成を試みた。
- 1975-12-01
著者
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