サトウキビの増収法に関する土壌肥料学的研究 : 第 1 報熟畑と未熟畑における窒素の吸収について(農芸化学科)
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概要
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稲嶺統土壌の熟畑と風化国頭礫層に造成された未熟畑に栽培される株出2回目のサトウキビ(共に1976∿1977年作物)について窒素吸収量と原料茎収量との関係を調べた。併せてりん酸とカリの吸収についても調べた。稲嶺統土壌熟畑においては原料茎数150,000本/haで, 収量は135t/haであった。風化国頭礫層未熟畑では原料茎数94,000本/haで収量は98t/haであった。この場合原料茎1本平均重は両圃場の間で大差がないので, 原料茎収量の多少は単位面積当たりの茎数によって決まることが明らかになった。稲嶺統土壌熟畑では窒素地力が高いこと, および窒素施用量が378kg/haあったことが相まってサトウキビの生育中期(7月∿11月初旬)の有効茎数確保が充分に行なわれた。これに対し風化国頭礫層未熟畑では窒素地力が未だ十分に高まっておらず, そのため窒素を7月以前に303kg/haと7月下旬に76kg/ha合計379kg/ha施用したにもかかわらず生育中期には葉身中の窒素濃度が低くなり, また有効茎の割合が低くなった。このようなことからこの未熟畑ではサトウキビの生育初期と中期に窒素が不足したものと推定した。サトウキビのりん酸吸収については稲嶺統土壌の熟畑においては135kg/haのりん酸施用量に対して68kg/haをサトウキビが吸収した。このことからこの熟畑がりん酸地力に富んでいると解釈された。一方の風化国頭礫層未熟畑では493kg/haのりん酸施用量に対する吸収量は36kg/haであったが, 特にサトウキビ生育中期のりん酸吸収割合(施肥量に対する)が低かった。サトウキビのこの様なりん酸吸収状態からみてこの未熟畑のりん酸地力は著しく低く, これが原料茎収量を高める場合に対策が必要な障害の一つであると解釈した。今回の研究から抽出される今後の研究課題は(i)窒素地力の低い造成未熟畑における窒素施用法の確立, (ii)造成未熟畑はりん酸地力も低いのでりん酸資材により土壌改良を行なった場合に, サトウキビのりん酸吸収がどのように改善されるかを明らかにすること, (iii)熟畑および造成未熟畑においてサトウキビの機械化栽培が行なわれる場合に, 機械に規制される植付畦巾・株間などが生育茎数の確保におよぼす影響を明らかにすること, などである。
- 1978-12-01
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