I. 糖蜜を含んだ最小費用飼料の決定(線型計画法による最小費用養豚飼料の決定に関する研究)(農学科)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的はハワイ州オアフ島における養豚農家が入手可能な全ての飼料要素(単味飼料, およびT.M. Salt, Vitamin premix, Antibioticを含む)のある組み合わせから得られる最小費用養豚飼料(必要栄養素を充分含んだ)を算出することにある。飼料給与対象の豚を, 35∿99lbの育成豚, 100∿149lbの肥育豚および母豚, ならびに150lb∿出荷にいたるまでの肉豚の3つのグループとし, それぞれの最小費用飼料を算出した。算出方法は線型計画法を用い, 実際の計算は電子計算機, IBM/360を利用した。線型計画法によって算出した最小費用飼料を農家が使用している自家配合飼料とコストおよび栄養素含有量について比較検討した。以下はその要約である。(1)算出した最小費用飼料のコストは飼料給与対象豚の体重が増えるにつれて低下する。(2)最小費用飼料のコストは飼料に含まれる糖蜜の量が増加するにつれて低下する。(3)最小費用飼料の構成要素の種類は飼料給与対象豚の体重が増すにつれてすくなくなる。(4)大麦, 油, ダイズ粉, マグロ粉, 肉および骨粉, ならびに糖蜜は全ての最小費用飼料に含まれている。大麦は全ての最小費用飼料の中に最大の構成要素として含まれている。又, 糖蜜は全ての最小費用飼料の中にそれぞれ最大許容量が含まれている。(5)最小費用飼料に含まれる糖蜜の量が増えるにしたがい大麦の含量は減り, 逆に油の含量は増える。(6)DL methionineは35∿99lbの育成豚用, および100∿149lbの肥育豚および母豚用の最小費用飼料に構成要素の1つとして含まれている。マイロは35∿99lbの育成豚用にのみ構成要素の1つとして含まれている。(7)マグロ粉は35∿99lbの育成豚用, および100∿149lbの肥育豚および母豚用最小費用飼料にはその最大許容量5lbが含まれているが, 150lb∿出荷にいたるまでの肉豚用には僅か0.6lbしか含まれていない。(8)最小費用飼料に含まれているタンパク質, digestible energy, およびmethionineの含有量は本研究において限定したところの最小栄養素要求量である。(9)大麦は最小費用飼料の構成要素の中では不安定な要素であるが, 糖蜜は最も安定した要素である。(10)millrunとmiddlingsは最小費用飼料の構成要素とはなっていないが, 除外された要素の中では構成要素となる可能性が最も強い要素である。一方, limestone, tri. ca. phosphateおよびtri. so. poly phosphateは構成要素となる可能性はほとんどない。(11)最小費用飼料に含まれている栄養素の中ではカルシウムは安価な栄養素であり, digestible energyおよびmethionineは割高な栄養素である。(12)算出した最小費用飼料と養豚農家が現に使用している自家配合飼料を比較すると, 農家の自家配合飼料は非効率的な飼料であると云える。自家配合飼料のdigestible energy含量は本研究で限定したところの最小要求量よりはるかに下まわっている。したがって単純にこれら自家配合飼料と算出した最小費用飼料を比較すると, 自家配合飼料の方が安いが, digestible energyの不足分を考慮に入れて比較すると, むしろ算出した最小費用飼料の方がはるかに安い。養豚農家は飼料の自家配合にあたっては単に最小費用で配合できる要素の組み合わせを行なうのではなく, それぞれの豚にとって必要な栄養素が充分含まれたところの最小費用飼料の配合につとめなければならない。本研究において算出した最小費用飼料はまさにそのような飼料である。
- 琉球大学の論文
- 1970-12-01
著者
関連論文
- <原著論文>瞬目による握力反応時間の遅延
- 戦後初期の沖縄畜産の回復過程と布哇連合沖縄救済会
- 沖縄経済における農業経済の計量経済分析
- 九州・沖縄地域における農業部門と産業構造の経済的位置付けに関する一考察
- 地域経済構造における生産波及効果のLeakageに関する一考察
- インドネシア南東スラウエシにおける移住計画の成果としての食用作物生産の評価
- 野菜の周年栽培による沖縄県における野菜の自給率向上に関する研究 : パミスサンド栽培法による野菜の生産と販売に関する事例研究
- インドネシア南東スラウエシの移住地における農業の現状と問題点
- 農業・農村の活性化に関する一考察 : オートキャンプ場導入による活性化
- ビデオを主として(IV 大学授業への活用に関する研究,平成5年度放送利用の大学公開講座研究報告書)
- 沖縄県における農業・農村の活性化に関する研究 : 観光農園,ふれあい牧場による活性化(生物生産学科)
- 第 2 報 多良間村の肉用山羊における在来山羊の飼養実態(多良間村における肉用山羊の生産,流通に関する総合的研究)(生物生産学科)
- 第 1 報 多良間村における肉用山羊の生産と流通に関する実態分析(多良間村における肉用山羊の生産,流通に関する総合的研究)(生物生産学科)
- 沖縄における農家経済の1モデル
- 第 2 報 南西諸島における肉牛の市場構造(南西諸島における肉牛の生産と市場対応に関する研究)(生物生産学科)
- 第 1 報 南西諸島における肉牛の生産構造(南西諸島における肉牛の生産と市場対応に関する研究)(生物生産学科)
- 沖縄における野菜の市場構造(農学科)
- 豚副生物の流通と価格形成 : 沖縄県を事例として(農学科)
- 広域流通環境下における豚の地域内自給流通構造に関する経済的研究 : 沖縄県における豚流通の特質とその経済的意義(農学科)
- 沖縄県の豚および豚肉の需給構造に関する研究 : 沖縄県の豚および豚肉の価格分析-1973-1977 年(農学科)
- 沖縄県の豚および豚肉の生産構造と流通構造に関する研究 : 沖縄県の復帰前後における豚および豚肉流通機構の変化について(農学科)
- 日本経済の産業構造変化と農業構造変化の評価と計測に関する一考察
- 超短潜時サッカード誘発のためのファジービジョン方略
- 超短潜時サッカード誘発のための視覚刺激要因の検討
- <研究資料>瞬目による押しボタン反応時間の遅延
- 035D03105 一致タイミング課題における効果的眼球運動パターンと知覚的方略(体育心理学)
- <総説>遅延調整過程としてみた運動学習
- 沖縄の屠畜業者の性格 : 沖縄県 : 宮古群島・八重山群島における屠畜業者の実態分析(農学部)
- 沖縄における肉豚および豚肉流通分析 : 流通機能面からのアプノーチ(農学科)
- 沖縄に於ける屠畜場 : その現状と問題点(農学科)
- II. 糖蜜を含まない最小費用飼料の決定(線型計画法による最小費用養豚飼料の決定に関する研究)(農学科)
- I. 糖蜜を含んだ最小費用飼料の決定(線型計画法による最小費用養豚飼料の決定に関する研究)(農学科)
- オン・オフ視覚誘発電位の2元過程モデル
- Sex Difference in Susceptibility to Delayed Auditory Feedback in Oral Reading Tasks
- 地方における中央卸売市場の特徴--沖縄県中央卸売市場の野菜取扱分析を通して
- 日本経済の産業構造変化と農業構造変化の評価と計測に関する一考察