沖繩における学童の栄養調査 III : 城北小学校の学童について(家政学科)
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概要
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1.1965年12月と1966年5月の2回にわたって, 那覇教育区立城北小学校の学童, 9歳から11歳までの男子200名, 女子183名について, 栄養状態を調べ, 栄養素別摂取状況, 食品群摂取状況, 栄養比率, 食品群別熱量および栄養素比率, 蛋白価, そして身体計測および身体症候発現率について結果をまとめた。2.栄養素別摂取状況は, 各年齢別の摂取量に大差はないが, 所要量に対する摂取率は, 熱量62∿74%, 蛋白質55∿75%, 脂質69∿94%, カルシウム37∿76%, 鉄71∿82%, ビタミンA30∿48%, ビタミンB_193∿120%, ビタミンB_2 91∿131%, ビタミンC56∿111%となり, B_1,B_2を除いて他の栄養素の不足が目立つ。特に不足しているのは, 5月のカルシウム(当日ミルク給食がなかった。), そして, いづれの季節ともビタミンA, 蛋白質となっている。ついで5月のビタミンCの不足が目立つ。3.食品群別摂取状況で, 各年齢別の総摂取量は女子が9,10,11歳の順に増加している。男子では必ずしも年齢増に従って摂取量の増加はみられない。摂取めやすに対する食品群別摂取量の比率は, 穀類80∿95%, 芋類10∿16%, 砂糖6∿8%, 油脂類25∿42%, 乳類3∿33%, 卵46∿71%, 魚肉獣肉類53∿80%, 豆類33∿57%, 緑黄色野菜類19∿28%, その他の野菜類29∿47%, 果実類34∿60%, 食品総摂取量37∿51%で, どの食品群とも著しく低い。4.栄養比率については良好な傾向がみられ, 総蛋白質に対する動物性蛋白質の比が39∿46%, 総カロリーに対する蛋白質カロリー比が13∿15%, 脂質カロリー比が17∿20%, 糖質カロリー比が66∿69%, 穀類から得られるカロリー比が59∿72%である。食品群別熱量および栄養素比率で, 比率の高いものをあげると, 熱量は穀類, 蛋白質も穀類, 脂質は油脂類, カルシウムは乳類, 鉄は穀類, ビタミンAは緑黄色野菜類, ビタミンB_1,B_2とも穀類, ビタミンCはその他の野菜類となる。すなわち, これらの食品が各栄養素の主な給源となっている。5.蛋白価は12月の食餌調査のものは平均77で, 5月には平均75となり, 第一制限アミノ酸は含硫アミノ酸である。6.身体計測の結果から, 身長および体重は全琉の学童の平均値と比較して, 男子では身長がややすぐれ, 体重でやや劣り, 女子では身長は劣っているが, 体重においてすぐれている。身体症候発現状況をみると, 有症者男子27%, 女子31%で女子にやや多い。男女とも腱反射消失, 毛孔性角化症, 貧血の発現率が高く, 口角炎は男子にのみ3.0%みられる。季節別にみると有症者は12月に28%, 5月に29%で大差ない。貧血, 毛孔性角化症, 腓腹筋圧痛, 浮腫は12月に多く, 口角炎, 腱反射消失は5月に多発している。
- 1967-10-01
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