強酸性廃液中の微量貴金属の回収
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概要
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一般に貴金属の精製・リサイクルプロセスからは強酸性廃液が発生し,多くの場合,湿式法で処理される.例えば金,白金,パラジウムおよび銀など貴金属が10 mg/L程度であり,銅や鉄などの金属が数mg/L–10,000 mg/L含まれる廃液については,通常中和法で処理される.しかし,このような廃液に多量のアンモニウムイオンが含まれる場合,pHの上昇と共に金属がアンミン錯イオンを形成するため,一般の中和法では処理が困難である.本研究の目的は,多量のアンモニウムイオンを含有する強酸性廃液中の微量貴金属を回収することである.廃液をpH6で中和すると,銅,鉛および鉄などの大半の金属は沈殿する一方,貴金属は沈殿しなかった.中和処理後,濾液中に残留する貴金属は,水素化ホウ素ナトリウムを用いpH 7.5で還元された.特に白金については,水酸化ナトリウムを用いた脱アンモニア処理によって,還元が改善された.貴金属は,中和,脱アンモニア,還元および溶融の各プロセスを組み合わせることにより,銅メタル中に濃縮された.このとき金,銀およびパラジウムの回収率は91%以上であり,白金は,およそ71%であった.
- 2010-07-20
著者
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梅田 久義
秋田大学大学院工学資源学研究科
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佐々木 敦
横浜金属株式会社
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高崎 康志
秋田大学大学院工学資源学研究科
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柴山 敦
秋田大学大学院工学資源学研究科
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高崎 康志
秋田大学 工学資源学部
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高橋 國彦
横浜金属(株)
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高橋 國彦
東京大学大学院 地球システム工学専攻
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高橋 國彦
横浜金属株式会社
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高崎 康志
秋田大学国際資源学教育研究センター
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柴山 敦
秋田大学大学院 工学資源学研究科
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梅田 久義
秋田大学大学院 工学資源学研究科
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柴山 敦
秋田大学大学院工学資源学研究科環境応用化学専攻
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