本邦の炭酸塩沈殿物を多量に伴う温泉・鉱泉の地化学的特徴 : CO_2地中貯留に対するナチュラルアナログの可能性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Water qualities and occurrence of precipitates in 10 hot and mineral springs with large calcareous deposits in Japan were investigated in order to elucidate geochemical conditions of the precipitation of carbonate minerals and water-rock interactions in their reservoirs. Chemical analyses of water samples have revealed that the spring waters were rich in NaHCO3 and CO2 components. Out of 10 springs investigated, 2 springs contain Ca and CO2-related soluble components with genetic relations to the dissolution of limestone underground; 4 springs also enriched in Ca were green-tuff type affected by gypsum dissolution. Other springs poor in SO4 component have geochemical characteristics suggesting the contribution of deep-seated fluid. The pH of reservoir fluids is considered to be buffered by CO2-HCO3 speciation. This chemical condition probably promotes rock alteration including dissolution of calcite and plagioclase, resulting in formation of large calcareous deposits in the fields studied. The calcareous precipitates consist only of calcite in three fields with relatively low water temperatures; the other deposits contain aragonite with calcite possible due to their formation at high temperatures and high concentrations of Mg, Mn and SO4 in spring waters. From a comparison of water chemistry at the points of precipitation, logarithmic critical saturation indices (SI) are empirically derived to be 0.7-0.9 for calcium carbonate and over 3.5, 0.5, 1.2 and 3.4 for dolomite, magnesite, siderite and dawsonite, respectively. Distribution coefficients of Sr and Mg between spring water and precipitates indicate that calcareous precipitates were formed near equilibrium conditions. The possible ware-rock interaction processes elucidated in this study should be taken into account for geochemical modeling of CO2 geological reservoirs. The empirical values of SI, which are all positive for major carbonate minerals, can be the most important finding because geochemical simulation previously conducted commonly assumed precipitation at the point of saturation (SI=0).
- 2009-09-30
著者
-
佐々木 宗建
産総研・地圏資源
-
村岡 洋文
産総研・地圏資源
-
奥山 康子
産総研・地圏資源環境研究部門
-
奥山 康子
(独)産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門 貯留地質分野
-
佐々木 宗建
(独)産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門
-
徂徠 正夫
(独)産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門
-
村岡 洋文
(独)産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門
-
徂徠 正夫
(独)産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門
-
村岡 洋文
(独)産業技術総合研究所
関連論文
- 温室効果ガスを大深度に閉じ込める : 二酸化炭素地中貯留(大深度地下の可能性)
- 温泉エコジェネシステム試験での沈殿物
- ドーソン石はCO_2地中貯留での鉱物固定のアナログか? : 地化学シミュレーション, 天然の産状と生成環境
- O-226 石英・長石の摩擦特性に与える水の影響 : 実験的アプローチ
- 日本の中小地熱資源評価のための温泉の空間データ分析序論
- 日本産花崗岩中の流体包有物(総括)
- P-249 CCOP DCGM-IVプロジェクト「アジア地熱データベース」(28. 情報地質)
- 「アジア地熱データベース」の作成について
- インドネシア・マタロコ地熱系のMT-1及びMT-2井から得られた流体包有物の研究
- アジア地熱データベースの構築について (特集 アジア地熱研究(2))
- 東北日本岩手県葛根田地熱系に産する含亜鉛アクチノ閃石
- 葛根田花崗岩周辺の接触変成作用の熱力学的フレームワークの再検討
- 第四紀葛根田花崗岩に見られる高温花崗岩の岩石学的特徴 (総特集 花崗岩研究の最前線--花崗岩成因論の新地平をめざして) -- (新手法・新視点による花崗岩の解明)
- 流体岩石反応から見た葛根田地熱系の構造と発達過程 (深部地熱資源に関する研究--葛根田地域の深部地熱系の解析・評価を中心に) -- (第2部 地質学的・地球化学的研究(モデル化))
- 人工流体包有物による地熱坑井の検層法 (深部地熱資源に関する研究--葛根田地域の深部地熱系の解析・評価を中心に) -- (第2部 地質学的・地球化学的研究(モデル化))
- 葛根田花崗岩周辺の接触変成作用:自由エネルギー最小化法化学平衡計算に基づく解析 (深部地熱資源に関する研究--葛根田地域の深部地熱系の解析・評価を中心に) -- (第2部 地質学的・地球化学的研究(モデル化))
- 葛根田花崗岩周辺の接触変成作用の熱力学的フレームワーク
- P-82 葛根田花崗岩周辺の接触変成作用 : 自由エネルギー最小化法化学平衡計算に基づく解析
- 葛根田地熱地域における浅部貯留層の流体包有物のガス組成
- 鬼首地熱地域産流体包有物の地球化学的特徴
- 本邦の炭酸塩沈殿物を多量に伴う温泉・鉱泉の地化学的特徴 : CO_2地中貯留に対するナチュラルアナログの可能性
- 深部探査井 (掘削深度3,729m) の流体包有物からみた葛根田花崗岩の特徴と葛根田地熱系
- 葛根田浅部 -深部地熱系の概念モデル
- 葛根田深部調査井WD-1で見いだされた熱水対流域と熱伝導域の境界 (2)流体包有物試験による確認
- 葛根田深部調査井WD-1で見いだされた熱水対流域と熱伝導域の境界(2)流体包有物試験による確認
- 温室効果ガスを大深度に閉じ込める : 二酸化炭素地中貯留
- 地化学・貯留層シミュレーションによる二酸化炭素の地化学トラッピングの検討 : 東京湾岸モデル
- 様々な組成の人工流体包有物による深部調査井WD-1aの温度検層 -1995年度の短期及び長期実験の結果-
- 葛根田浅部-深部地熱系の概念モデル
- 様々な組成の人工流体包有物による深部調査井WD-laの温度検層 -1995年度の短期及び長期実験の結果-
- 深部地熱資源調査による葛根田地域における坑内発破を使用した地震波速度構造調査
- 本邦の酸性温泉水質の資源性に関する考察
- 深部地熱資源調査の進捗
- 深部地熱資源調査の進捗
- 地質調査総合センターによる「遠隔離島小規模地熱の探査に関する研究協力」の総括
- 人工流体包有物による深部探査井WD-1a の温度検層 ─1996年度の中期実験─
- 人工流体包有物による深部調査井WD-1aの温度検層 -1996年度の中期実験-
- 葛根田深部調査井WD-1aで採取された高塩濃度流体いついて
- CO_2帯水層貯留での「地層水」の役割とわが国でのCO_2地化学トラッピングへの適用性
- 冷却しつつある高温花崗岩--500℃葛根田花崗岩など地熱地帯の花崗岩の特徴について
- カソードルミネッセンス及びFT-IRを用いた葛根田地熱地域の新期花崗岩及び熱水性鉱物脈の研究(予察)
- 北海道森地熱貯留層に産する流体包有物のガス組成
- カソードルミネッセンス及びFT-IRを用いた葛根田地熱地域の新期花崗岩及び熱水性鉱物脈の研究 (予察)
- ドーソン石はCO_2地中貯留での鉱物固定のアナログか? : 和泉層群での産状の再検討の現状
- 深部地熱資源調査における地熱貯留層探査への微小地震の利用について
- 深部地熱資源調査における地熱貯留層探査への微小地震の利用について
- 葛根田深部調査井WD-laで採取された高塩濃度流体について
- NEDO「深部地熱資源調査」の概要
- 地熱探査技術等検証調査,深部地熱資源調査 (ニュ-サンシャイン計画地熱関係研究の解説)
- 人工流体包有物による葛根田深部井WD-1の温度検層の予備的実験
- 2001年噴火により実証されたインドネシアフローレス島バジャワ地域の岩脈状熱源
- 自然電位変化から見た噴気試験時の貯留層変動 - インドネシア・フローレス島マタロコにおける例 -
- CO_2地中貯留における灰長石溶解プロセスの速度論的考察
- オーバーヒーティングによる流体包有物均質化温度の変化
- 地熱地域における流体包有物と熱水変質の関係について
- 葛根田地熱系WD-1a坑井において金属テルルの溶融により求められた最高温度449℃
- オーバーヒーティングによる流体包有物均質化温度の変化
- 日本の代表的深成岩についての熱伝導率・熱拡散率の測定
- 0539 CO_2地中貯留におけるトラッピングメカニズム(S52-2 温室効果ガス排出抑制技術(2),S52 温室効果ガス排出抑制技術)
- 二酸化炭素の非構造性帯水層貯留における地化学トラップの可能性 : 東京湾岸モデルでの地化学プロセスの検討
- 二酸化炭素の非構造性帯水層貯留における地化学トラップの可能性-東京湾岸モデルでの地化学プロセスの検討
- 深部地熱資源調査による葛根田地熱地域におけるFMI検層, 定方位コアによる断裂系解析
- P-139 展張性断裂の発達過程の数値モデル化 : 鹿児島県菱刈金鉱床の鉱物脈について(17. 岩石・鉱物の破壊と変形)
- 基盤岩周辺の断裂系の統計的解析 : 菱刈鉱床ボーリングコアに見られる鉱物脈の特徴
- 森地熱地域における流体包有物の塩濃度分布 -CO_2濃度を考慮した補正-
- 流体包有物に記録された若い花崗岩貫入後の熱水活動 -葛根田地熱地域と乳頭地熱地域を例に-
- 森地熱地域における流体包有物の塩濃度分布 -CO_2濃度を考慮した補正-
- 温泉の地化学温度からみた韓国の地熱資源ポテンシャル評価
- 超臨界CO2に対する人工キャップロック試料のシール性能評価 ([平成22年度石油技術協会]地質・探鉱部門シンポジウム 地層流体の移動と炭化水素の集積--最新の予測・評価技術)
- 2606 産総研での地中貯留研究 : まとめと課題(S31-2 温室効果ガス排出抑制技術(2),21世紀地球環境革命の機械工学:人・マイクロナノ・エネルギー・環境)
- 606 本邦産花崗岩及びペグマタイト中の流体包有物の地球科学的研究 (その2)
- 八丈島(HJ-4井)産流体包有物のガス組成について
- 363 本邦産花崗岩及びペグマタイト中の流体包有物の地球化学的研究(深成岩)
- CO_2地中貯留に関連した水-岩石相互作用の研究の現状と速度論的アプローチの展望
- 特集号「岩石-水相互作用から見る二酸化炭素地中貯留」緒言
- 第8回地球温暖化ガス制御技術国際会議(GHGT-8)に参加して
- 5.3 地熱(5. 自然エネルギー,II エネルギー資源の利用技術の進展と研究動向,平成19年における重要なエネルギー関係事項)
- 5.3 地熱(5. 自然エネルギー,II エネルギー資源の利用技術の進展と研究動向,平成18年における重要なエネルギー関係事項)
- 5.3 地熱(5. 自然エネルギー,II エネルギー資源の利用技術の進展と研究動向,平成17年における重要なエネルギー関係事項)
- 5.3 地熱(5.自然エネルギー,II エネルギー資源の利用技術の進展と研究動向,平成16年における重要なエネルギー関係項目)
- Country Updates (各国の最新情報)
- 中国、華北平野とオルドス盆地周辺域での地下水位低下の地質学的解釈(26.環境地質)
- 超臨界CO_2に対する人工キャップロック試料のシール性能評価
- 温泉バイナリー発電(地熱利用技術の研究開発最前線)
- オーストラリアの二酸化炭素対策研究開発--CO2CRCのOtway実証試験とAPP/CDC技術フォーラムより
- インドネシア東部フローレス島マタロコ地区調査井MT-1における変質作用
- 深部塩水帯水層へのCO_2地中貯留でのドーソン石出現条件 : 地化学シミュレーション結果の再検討
- 5.3 地熱(5 自然エネルギー,II エネルギー資源の利用技術の進展と研究動向,平成20年における重要なエネルギー関係事項)
- 日本の地熱エネルギー開発凋落の現状と将来復活の可能性