溶融飛灰中の亜鉛の形態とその塩化揮発挙動
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概要
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本研究では,由来の異なる種々の溶融飛灰に対応可能な効率的有価金属分離プロセスの開発のための基礎的なデータを取得することを目的として,溶融飛灰中に含まれる亜鉛の存在形態を定量的に明らかにすると共に,種々の亜鉛化合物の塩化揮発挙動を調べた.各種溶媒を用いた逐次抽出により,飛灰中の亜鉛化合物を塩化鉄可溶分(酸化物,炭酸塩),酢酸可溶分(珪酸塩,アルミノ珪酸塩),水酸化ナトリウム可溶分(フェライト),そして混酸可溶分(硫化物)の4種に分離し,定量した.コークスベッド式および流動床式ガス化溶融炉で発生した2種の飛灰MとBをそれぞれ分析した結果,飛灰M中の亜鉛の93%とBの60%は酸化物や炭酸塩として存在していた.また,飛灰B中に含まれる亜鉛の40%はフェライトや硫化物,珪酸塩やアルミノ珪酸塩で構成されていることがわかった.いずれの飛灰でも,単独で加熱した場合には亜鉛の揮発は生じないが,種々の形態を含む飛灰Bでは,加熱によりその組成が著しく変化することがわかった.さらにPVCを添加した場合には,飛灰中の酸化物やアルミノ珪酸塩が主に揮発分離し,また亜鉛フェライトは,飛灰中の炭酸カルシウムとの反応により,固相中へ酸化物として安定化することがわかった.炭素を添加した場合には,安定な珪酸亜鉛や硫化亜鉛の塩化揮発がPVC添加時に比べて著しく進行しており,種々の形態で存在する亜鉛の揮発に対する炭素の添加効果が高いことが明らかとなった.
- 2007-09-20
著者
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菅原 勝康
秋田大学工学資源学部 環境応用化学科
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山口 洋平
秋田大学工学資源学部 環境物質工学科
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野中 利瀬弘
秋田大学工学資源学部 環境物質工学科
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佐藤 和久
一関工業高等専門学校物質化学工学科
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菅原 勝康
秋田大 工学資源
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菅原 勝康
秋田大学工学資源学部
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佐藤 和久
国立高等専門学校機構一関工業高等専門学校物質化学工学科
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