重炭酸塩がアジアナシ台木種の鉄欠乏クロロシスに及ぼす影響

概要

論文の詳細を見る
本研究では,二種のナシ台木種(Pyrus xerophila Yu,Pyrus betulaefolia Bunge)を水耕栽培し,重炭酸塩が鉄欠乏によるクロロシスに与える影響を調査した. P.betulaefoliaは重炭酸塩添加処理後わずか20日で鉄欠乏からくるクロロシスを生じた.一方,P.xerophilaでは,障害がほとんど発生せず.葉のクロロフィル含量(SPAD値),茎の鉄含量ともにP. betulaefoliaに比べ高かった.これらの結果より,P. xerophilaは石灰質土壌下で誘導される鉄欠乏症に対して,P. betulaefoliaに比べ耐性を持つことが示唆された.また,両種とも根の先端部の鉄(III)還元力は重炭酸塩処理により増加し,P. xerophilaの還元力はP. betulaefoliaの約2倍であった.このように,根の先端部における鉄(III)還元力の測定は,鉄欠乏症耐性ナシ台木種を選抜するための指標として適当と認められた.
園芸学会の論文
2006-05-15