アカパンカビで発酵させた脱脂大豆(D-オンチョム)の抗酸化作用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
一般に, 発酵大豆は抗酸化力が強い。アカパンカビ Neurospora intermedia で発酵させた脱脂大豆 (脱脂大豆オンチョム, D-オンチョム) を食品として普及させることを目標に, D-オンチョムの抗酸化力を検討した。D-オンチョムのメタノール抽出物は in vitro におけるラジカル消去力がヘキサン抽出物より強かった。ヘキサン抽出物には微量のβ-カロテン, α-カロテンと極微量のγ-トコフェロールが含まれており, メタノール抽出物には多量のイソフラボンのアグリコンであるダイゼインとゲニステインが含まれていた。この結果から in vitro におけるD-オンチョムの抗酸化力は主としてイソフラボンのアグリコンによることが示唆された。D-オンチョムの in vivo における抗酸化力を確認するため, ラットにビタミンE欠で酸化油とD-オンチョムあるいは脱脂大豆 (DSB) を配合した飼料を投与した。DSB飼料投与ラットは対照飼料投与ラットに比べ, 体重増加量が少なく, 血漿と肝臓のTBARS値が高く, 血漿α-トコフェロール濃度が低かった。しかし, D-オンチョム飼料は体重増加量や血漿と肝臓のTBARS値のいずれにも何らの影響も及ぼさず, 血漿α-トコフェロール濃度に対する酸化油の影響も少なかった。この結果はD-オンチョム飼料ラットではD-オンチョムのなんらかの成分が in vivo における脂質の過酸化を抑制したことを示唆していた。D-オンチョムの抗酸化作用はD-オンチョムに含まれているイソフラボンアグリコンとカロテン類の協同作業によるものであろう。
- 2001-10-10
著者
関連論文
- アカパンカビで発酵した大豆とおからで調製した低塩味噌の呈味性・抗酸化力と抗変異原力
- テンペ菌で発酵させたキノアのビスケット素材としての適性
- 加熱・ペースト化したおからテンペのパンケーキやコロッケ素材としての利用
- 麹菌栽培おからのクッキーやカップケーキ副材としての活用
- 加熱・ペースト化したキノアテンペの食パン素材としての利用
- ルイボスティー顆粒製品摂取が女子大学生の排便に及ぼす影響
- ラットによる“おから麹”のコレステロール
- おからオンチョムの調製法と成分特性
- アカパンカビで発酵させた脱脂大豆(D-オンチョム)の抗酸化作用
- コレステロールを含まない飼料で飼ったラットによるキノアテンペ(テンペ菌で発酵させたキノア)の血清コレステロール低下作用
- ラットによる新食品素材おからテンペの食物繊維の資化性と特性
- オンチョム菌を利用した米味噌の特性
- おからテンペの性質に及ぼす米糠の影響
- キノアテンペ(テンペ菌で発酵させたキノア)の抗酸化作用
- テンペ菌で発酵させた"おから"の特性と食品への活用例
- ラットにおけるおからテンペのタンパク質の消化性
- 新高繊維食品素材"おからテンペ"のハンバーグとカップケーキへの活用
- 酸化油を摂取したラットにおける新食品素材おからテンペの生体内抗酸化作用
- おから製テンペを利用した高繊維ビスケットの試作