臨床研究医の現状:診療現場で臨床研究を実現するための課題:-京都大学臨床研究者養成コース(MCRコース)の履修生の実態調査から見えてきたこと-
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概要
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我が国の臨床研究の推進には,臨床と研究手法に精通した臨床研究医(clinical investigator)の養成が必要である.我が国初の臨床研究の系統的な教育を行う臨床研究者養成(MCR)コースが京都大学に開設された.今回,本コースの卒業生が臨床研究を実施する上で直面している問題点を調査し,今後の改善策を検討した.1) MCRコース3期生までの全履修者28名を対象に,履修後の臨床研究実施に関する現状や将来像等について自己記入式質問紙調査を行った.2) 回答者24名中(回収率86%),臨床研究を行う上で,「時間がない」,あるいは,「研究協力者がいない」といった問題を挙げる者は,それぞれ40%程度いた.3) 「臨床研究を進めるために職場や周囲への働きかけ」を行った者は20名(83%)いたが,職場において臨床研究の支援が得られたのは1名のみであった.4) このような状況下,自らの10年後の将来像として「病院で臨床研究を行う臨床医」と回答した者が半数以上いた(54%).また,「臨床研究を行う医師のキャリアパスを想像できる」と回答した者は42%であった.5) MCRコースは改善の余地があるものの人材育成の具体的なモデルを呈示した.臨床研究のさらなる発展のため,医療現場における支援体制や人的・物的インフラ整備の必要性が示唆された.
- 日本医学教育学会の論文
著者
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今中 雄一
京都大学大学院 医学研究科 医療経済学分野
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石崎 達郎
京都大学大学院医学研究科医療経済学分野
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川上 浩司
京都大学大学院 情報学研究科システム科学専攻
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有村 保次
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻臨床研究者養成コース(臨床情報疫学分野)
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西田 俊彦
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻臨床研究者養成コース(臨床情報疫学分野)
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南 麻弥
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻臨床研究者養成コース(臨床情報疫学分野)
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川村 孝
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻臨床研究者養成コース運営委員会
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福原 俊一
京都大学大学院医学研究科
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横山 葉子
京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 健康増進・行動学講座
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川村 孝
京都大学大学院医学研究科予防医療学分野
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山崎 新
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療疫学分野
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三品 浩基
京都大学大学院医学研究科医療疫学分野
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中山 健夫
京都大学大学院
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石崎 達郎
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻臨床研究者養成コース(臨床情報疫学分野)
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