メダカによる陰イオン系界面活性剤の忌避
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概要
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(1)前報(5)で報告したメダカを使った小型で簡便,迅速な忌避試験法によって,陰イオン系界面活性剤原体7種と製剤1種の忌避試験を行った.また,同じ条件のメダカで急性致死試験を行い,比較検討した. (2)メダカは,ブランク試験結果と比較して, LAS濃度1〜5μg/lでは忌避を示さず, 10,μg/lで有意な忌避(P=0.05)を示し, 30μg/lで忌避率が最高となった.それ以上の濃度では忌避を示さない個体が増えて平均忌避率が低下し, 80μg/lでは忌避しなかった.濃度の増加とともに忌避率が上昇し,ある濃度を境に忌避率が低下し,高濃度では忌避を示さなくなるという傾向は, AES原体,製剤,石けん(P)でも見られ,陰イオン系界面活性剤に一般的な現象と思われる. (3) AES原体と製剤とでは,有意な忌避を示す濃度はほとんど同じであるが,忌避曲線の形状が異なっていた. (4)各種界面活性剤に対する忌避反応を相互比較するため, 65%忌避率を示す濃度(AR65)とその95%信頼区間を求めた. LASに対するメダカのAR65は試験魚の入手時期,試験日が異なってもほぼ一致し,再現性が非常によかった. (5) AR65は, AS (7.1μg/l)<LAS, ABS<AES原体,製剤<石けん(L)<石けん(S)<石けん(P) (285μg/l)の順となり,化学構造の違いにより忌避濃度が異なった. (6)忌避濃度と急性致死濃度との間には,一定の関係が見出せなかった. (7) AR65/48 hr-LC50は0.0002〜0.002と非常に低く,陰イオン系界面活性剤に対する魚の忌避は,通常の毒性試験が行われる濃度よりはるかに低濃度で起っている.化学物質の魚類に対する影響評価の試験法の一つとして,本忌避試験法とこの方法で求めたAR65による定量的な評価法は有望であろう.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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