メダカによる化学薬剤の忌避試験法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
魚の化学薬剤に対する忌避反応を定量的に評価するための忌避試験法を考案した.前報(2)のアユを使った方法に比べて本法の改良点は, (1)標準的試験魚であるメダカを使用し, 1年を通して試験することが可能となった. (2)試験水槽を理論上最もよいと思われる完全並流型にした. (3)装置を小型化したので, 1日に使う試験水量が2tからltに減少した. (4)試験魚の馴致と忌避試験を同一のスモールチェンバー内で行った.そのため,魚へのストレスが減少し,試験水槽内での魚の馴化が早くなった. (5) 1回の試験時間が100分から25分に短縮した.アユのときは1日5尾であったのが,メダカでは1日(約5時間)最高20尾,通常15尾の結果が得られた. (6) 再現性が非常によく,全体とLて迅速,簡便になった. 試験結果は記録時間5分間に対する薬液無添加側の水域に魚がいた時間割合(%)である忌避率で表し,通常10回の結果を平均する.その統計処理は,ブランク試験結果の度数分布が正規性を示すことから,簡便で効率のよいt-検定法が適用できる. 界面活性剤を用いて検討した結果, (1) メダカの産地や入手時期による忌避試験結果の差はなかった. (2) 前報の向流型試験水槽と比較すると,忌避曲線のパターンは同じであるが,向流型のほうが並流型よりやや忌避率が高くなる傾向がみられた. (3) 1回に使う試験魚が単独の場合と集団とでは結果に差がなく,メダカの忌避行動は視覚ではなく嗅覚や味覚基にづくことが示唆された. このメダカによる並流型の試験法は,化学物質の影響評価の一つとしての標準的忌避試験法の条件をほぼ満たしていると思われる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
関連論文
- 1980-82年および1984-86年に捕獲した南半球産ミンククジラの水銀蓄積の比較
- 季節および樹冠部位によるムクノキ葉中元素濃度の変動
- 11-16 殺菌剤による環境汚染(1) : ダコニール(TPN)の土壌残留分析法(環境保全)
- アカウミガメ (Caretta caretta) における重金属類の体内分布
- ポリ塩化ビフェニレンの分析法(環境化学)
- 11-22 水田土壌におけるダイオキシンおよびジベンゾフラン等の分布と挙動(11.環境保全)
- 大気中低分子量塩素化炭化水素の定量法
- 11-43 水田に散布された除草剤のゆくえ : 愛媛県大洲盆地の場合(11.環境保全)
- 11-42 水田に散布された二,三の有機りん農薬のゆくえ : 愛媛県大洲盆地の場合(11.環境保全)
- 人畜汚染指標としての水中コプロスクノール及びコレステロールのECD ガスクロマトグラフィーによる定量法
- 11-47 河川水および雨水中のフタル酸エステル(11 環境保全)
- 11-18 有機リン系農薬による環境汚染(2) : 土壌の残留分析法と環境調査例(環境保全)
- 11-17 有機リン系農薬による環境汚染(1) : 水の分析法と環境調査例(環境保全)
- 11-21 土壤中の全有機能塩素(11.環境保全)
- 食事から摂取するPCB量
- 残留農薬BHCの加熱調理による影響
- ガスクロマトグラフ法による除草剤PCPの残留分析 : ジメチル硫酸エーテル法
- 環境中の有機態ハロゲン
- 切削油中のエタノールアミンとN-ニトロソジエタノールアミンのガスクロマトグラフィー及びマスフラグメントグラフィーによる定量法
- 土じょう,底質中アントラセンの電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフによる定量法
- 保存性有機塩素化合物の環境動態(パネルディスカッション : 有機塩素系化合物の環境動態並びに毒性に関する最近の知見)(第11回環境汚染物質とそのトキシコロジーシンポジウム)
- 有害物と環境--ダイオキシン・水銀問題を中心に
- 11-46 土壌中のフタル酸エステル(11 環境保全)
- I-2 土壌中における有機有害物質の行動(シンポジウムI:各種有機廃棄物による土壌汚染)
- 11-22 除草剤CNPによる環境の汚染(2) : 水中のCNP(11.環境保全)
- 昭和基地周辺で捕獲した5頭のウェッデルアザラシの外部形態と臓器重量(英文)
- 有機塩素化合物による海洋汚染 (分析化学で地球・環境を診る) -- (環境を診る)
- coplanar PCBの分析と毒性 (1986年の化学-8-)
- 吉野川河口域の河川水-海水境界域における重金属類の動態(シンポジウム:いま,沿岸の潮汐・潮流のなにが問題か?)
- 沿岸域および河口域における人工有機化合物の動態(シンポジウム:沿岸海域における人工有機化合物汚染)
- 土壌中における水銀の吸着保持強度 : 粒径および有機物組成と加熱による水銀の脱着量との関係
- 土壌中における水銀の存在形態 : 粒径および有機物組成と水銀量との関係
- 昭和基地周辺で行った湖沼調査予報(1981,1985年)(英文)
- 昭和基地周辺の有機塩素化合物汚染
- 総説:南極における有機塩素化合物の研究
- ビンナガマグロ (Albacore, Thunnus alalunga) とカツオ (Bonito, Katsuwonus pelamis) 体内の重金属分布およびその特性
- トレーサーとしての環境化学物質 : 生体中の PCB 組成から生体影響を読む(身近な分析化学 : わずかな手掛りから何がわかるか)
- 人工有機化合物による海洋汚染 : その現状と課題(シンポジウム:沿岸海域における人工有機化合物汚染)
- 農薬と環境(化学教育における環境問題のとらえ方)
- 有機臭素系難燃剤hexabromobenzene (HBB) の光分解
- 白蟻防除従事者血中のchlordanesとその関連化合物およびその他の有機塩素化合物
- 水中コブロスタノールおよびコレステロールの多重イオン検出器を備えたガスクロマトグラフ質量分析計 (GC-MS-MID) による定量法
- “アルカリ分解法” によるPCB, PCT分析法の補遺
- PCBによる環境と生物の汚染
- R. WHITE-STEVENS編"Pesticide in the Environment"Vol. 1,Part II, B5版, 271〜269p. ($28.50). Marcel Dekker, Inc. (1971)
- コプロスタノールを指標とした大阪湾の屎尿汚染
- 瀬戸内海西部・周防灘における屎尿汚染指標としてのステロール
- 血中のChlordanesとその関連化合物およびその他の有機塩素化合物のガスクロマトグラフ (GC-ECD) 分析法
- 四国西部における未耕作土壌中希土類元素の分布
- 大阪湾における低分子量塩素化炭化水素の分布と挙動
- メダカによる農薬の忌避
- メダカによる陰イオン系界面活性剤の忌避
- メダカによる化学薬剤の忌避試験法
- 魚類による化学薬剤の忌避試験法 : アユによる洗剤の忌避
- フェノバルビタールおよび3-メチルコラントレン処理ラットの肝ミクロゾーム画分におけるPCBの組成変化
- 調製シリカゲルによるPCBとDDEおよび他の有機塩素系殺虫剤との分離
- 13 土壌分析
- Variations by sex and body size in the avoidance tests of sodium linear laurylbenzene sulfonate and fenitrothion using a fish, medaka Oryzias latipes.
- スジイルカの筋肉中塩不溶性画分の水銀とセレンの性質〔英文〕
- チリ-沖産魚類による有機塩素化合物の蓄積
- 長良川産魚類の形態異常と寄生虫感染の経年変化〔英文〕