グルテンポリペプチドにおける鎖内SS結合の鎖間SS結合へのSH-SS交換反応による転換
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概要
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(1) Sephadex G-150のゲル濾過により,還元再酸化グルテニンからは鎖内SS結合をもった単一鎖ポリペプチド区分としてF II, FI IIの2区分が,還元再酸化したグリアジンからは同じくF IIIの1区分が分離された. (2) 還元再酸化グルテニンのF II, F IIIおよび還元再酸化グリアジンのF IIIのSS結合量は,それぞれ蛋白質105g当たり5.3モル,6.9モルおよび8,6モルであった. (3) これらモノマー区分の2%溶液(pHによっては沈殿を含む)にpH 4.4からpH 6.3の各種のpHにおいて,システインを蛋白質105g当たり0.83モルの割合で加えてSH-SS交換反応を起こさせると,グルテニンの2区分はpH 4.6で約30%が重合し,pH上昇とともに重合性を急速に増し,ほとんど100%ポリマーとなる傾向を示した.しかしグルテニンとは異なり,その増加の割合はpH上昇とともにおとろえpH 6.3でも重合は50%で,上昇は頭打ちになる傾向を示した. (4) これに対し,還元再酸化の処理をしない元のグリアジンは,システインで処理してもpH 4.6〜pH 7.3の範囲で重合を起こさなかった. (5) 一方還元再酸化グリアジンからダイマー区分として得られたF IIはF IIよりも重合しやすく,pH 4.6では重合を起こさなかったがpH5.0では40%が重合した. (6) 塩添加によりポリペプチドの会合を促進した条件下で交換反応を起こさせたとき,還元再酸化グルテニンF IIIでは重合性に影響はなかったが,還元再酸化グリアジンF IIIは重合性を増した. (7) 上述の重合反応の観察結果に基づき,小麦穀粒中におけ1るグルテニンおよびグリアジンの生成機構について考察した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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