醗酵培地における酒石酸の定量
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概要
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ポーラログラフ法を検討した. (2) 醗酵液中に共存する有機酸は塩化アンチモンで活性化されず,半波電位-0.95 volts vs. S.C.E.のアンチモン-酒石酸錯塩のポーラログラフ波は,特異性をもつことがわかった.また,醗酵液串の他の妨害成分は,前処理を行なうことにより,ポーラログラフ的に純粋にすることができた. (3) Mathersは操作条件の検討を行なっていない.醗酵培地中の酒石酸の定量に応用するに際しては,その方法は幾分問題があり実際的でないことがわかったので,その改変を試みた.すなわち,電解液を調製するための最適条件を定めるため,前処理条件,活性化条件と波高との相関性を調べ,また,操作の簡略化を試み,操作条件を決定した. (4) 前処理工程では添加水量が重要であり,少ない場合ビスマス塩が定量的に沈澱しなかった.活性化工程では塩化アンチモン添加量が波高に影響し,大過剰に添加した場合低めに出た.過剰の塩化アンチモンが水の添加で沈澱するさい酒石酸をとり込むためであると思われる. (5) アンチモンー酒石酸錯塩の組成を調べた結果,アンチモン:酒石酸のモル比は1:1であることを知った. (6) 還元波に及ぼす温度の影響は大きくなく,湿度係数o,6%/°Cであった. (7) 酒石酸異性体中,D-体,L-体,DL-体は塩化アンチモンで活性化されるが,meso-体は活性化されなかった. (8) 決定した最適操作条件に従って,純溶液で標準曲線を作成したところ,酒石酸濃度2.5〜17.5mgの範囲で直線関係が得られた.実際の醗酵液を用い定量したところ,サンプルサイズ1ml(全酸度0.64meq)以下で,共存酸の影響をほとんど受けることなく,%誤差2〜6%で測定できる結果を得た.再現性は%誤差0.5%できわめて良好であった. また,一般的な有機酸が共存する場合でも,酒石酸と同量程度の共存では波高に影響なく,前処理活性化が行なえる. (9) 本法は,前処理工程活性化工程と電解液調製までの準備操作は繁雑であるが,特異性,再現性において勝り,本醗酵液ではほとんど共存酸の影響を受けずに測定できることが判明したので,本法を醗酵培地中の酒石酸定量に関するMathers変法とした. 本報告にされるごとき電解液調製の準備操作としての前処理活性化の問題は,有機ポーラログラフィーにとって大切な課題であると思われる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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