ブドウ糖の果糖への異性化に関する研究(第2報) : 各種アルカリ試薬による異性化率の検討
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概要
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(1) 前報で述べたグルコースに対して,アルカリを1%添加する条件により,水酸化カリウム,水酸化ナトリウムなどのアルカリ試薬および亜硫酸ナトリウム,テトラホウ酸ナトリウムなどの塩類,陰イオン交換樹脂,緩衝溶液中におけるグルコースの異性化の検討を行なった. (2) 各種触媒中でのグルコースの異性化率は,水酸化ナトリウム単独の場合と同様に,反応開始時の系のpH値によって決定される. (3) 亜硫酸ナトリウムを水酸化ナトリウムと併用すると,液の養色度は著しく低くなることを確認した. (4) 0.2M炭酸緩衝液を用いて,反応液のpH低下を防いで反応を行なわせたところ,グルコースと緩衝溶液中の塩のモル比が1:1のときには, pH保持がよく行なわれたが, PKFの低下は激しく全還元糖の残存率は急激に減少する.このようにpH保持だけでPKFを上昇させることはできなかった. (5) アニオン交換樹脂〔Amberlite IRA-411 (OH型)〕を用いて, 56°で反応を行ない23%のPKFを得た.この場合には,液の着色物質は樹脂に吸着され,除去すべきイオンの存在しないことが長所と考えられる. (6) アルカリ異性化反応後の糖の破壊については,水酸化ナトリウム,水酸化カルシウムの場合が,用いた各種塩類およびアルカリのうちで最も大きく,グルコースの有機酸および着色物質への変化量は, 3.5〜4.0%であった. (7) 水酸化ナトリウムに比してPKFを著しく上昇させる触媒を見出すことができなかった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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