ブドウ糖の果糖への異性化に関する研究(第3報) : 陽イオンが異性化率に与える影響
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概要
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アルカリ異性化反応の場合に,異性化率を支配する最大の因子は反応pHであることをすでに述べたが,今回は陽イオン相互に差があるか否かを調べる目的で,各種陽イオンを同一pH1条件でグルコースに反応させた. (1) アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物7種を用い,同一規定濃度のアルカリ溶液中でグルコースを異牲化させたところ,水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化バリウムが高い異性化率を示し,他のアルカリ土類金属はかなり低かった. (2) アルカリ金属3種の問の相互の差を明らかにする目的で,リン酸ナトリウム緩衝液を用いてpH 6.50, 6.80, 7.50の三水準で反応pHを一定にして一定量の陽イオンを添加して反応を行ない,これらの間に何らの差のないことを確認した.また同じ目的で他の陽イオンが混在しない系を作るため,リン酸カリウム緩衝液,リン酸ナトリウム緩衝液を調製し,ナトリウムイオン,カリウムイオンの異性化作用を比較した.これらの実験においてナトリウム,カリウム,リチウムの3種のアルカリイオンの間には何ら差のないことを明らかにした. この実験において,陽イオンはアルカリ性溶液においてはもちろん,微酸性溶液(pH 6.50, 6.80)においても弱い触媒作用をもつことを確認した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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