細菌によるL-リンゴ酸の調製(その1) : L-リンゴ酸生成に対する界面活性剤の作用
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概要
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(1) 見掛け上フマラーゼ活性の弱いBrevibacterium ammoniagenesを使用し,菌体のフマラーゼ活性にたいするC.P.C.の影響を検討した.その結果, C.P.C.処理菌体またはC.P.C.存在下の反応系で,強いフマラーゼ活性を示すことが明らかとなった. (2) 生菌体によるL-リンゴ酸の生成に有効な界面活性剤としては, C.P.C.をはじめとするカチオン界面活性剤, sodium lauryl sulfateをはじめとするアニオン界面活性剤,さらにはalkyl betaine等の両性界面活性剤のうちに多数見出されたが,非イオン性界面活性剤は概して効果が低かった. (3)上記のBrevibacterium細菌をはじめとする各種の菌株のgrowing cellによるフマル酸からL-リンゴ酸の生成に際して界面活性剤の添加の影響を調べた. L-リンゴ酸の生成能は活性剤の添加によって増大し,なかでもBrevibcterium, Corynebacetrium, Bacillus, Protaus並びにL-グルタミン酸生産菌として総括される細菌等は特にすぐれていた. (4) Brevibacterium ammoniagenesを使用して, growing cellでL-リンゴ酸生成条件の検討を行なった.その結果,フマル酸は, Na-塩よりもCa-塩として添加するとモル収率が高くなること,フマル酸濃度は10g/100mlまでL-リンゴ酸の生成が容易であることがわかった. (5) L-リンゴ酸生成における界面活性剤の作用は,基質の細胞膜透過性を促進するのみ〓生産物であるL-リンゴ酸の酸化分解を阻比〓明らかにした.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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