醤油香氣成分に關する研究 : (第2報)醤油の火香(その1) C10H22O3なるAcetalの分離
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概要
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1. 第1報の方法を更に注意して反復し,醤油粕の水蒸氣蒸溜液より香氣成分を分離し,bpm10033.0〜33.5,150〜170mm43〜44°の單一物質を得た. 2. 此の元素分析の結果は(C10H22O2+2H2O)に最も近似する. 3. 次報に述べる如く此の構造をα-hydroxy-isocaproaldehyde diethyl acetalが2分子の水を持つたもの,即ち(CH3)2CHCH2CHOHCH(OC2H5)2+2H2Oと推定したが・屈折率,比重を測定して分子屈折を計算せる結果は此の構造式に一致する. 4. 氷鮎降下法による分子量測定の結果もこの實驗式に一致する. 5. 本物質は醤油の火香を有する許づでなく,爽快な味を有し醤油の呈味成分に關係していると思われる. 終りに臨み本研究に對し終始御懇篤なる御指導を賜つた東大住木論介教授に對し衷心より感謝する.又東大坂口謹一郎教授,朝井勇宣教授其他諸先生竝に野田産研所長茂木正利氏,野田醤油會社内諸先輩から種々御指導御便宜を賜り之亦感謝に堪えない.元素分析は東大農化微量分析室及び東大藥學中央分析室の方々の勞を煩わせたもので併せて御禮申し上げる.最後に本研究に對し終始熱誠なる御協力を戴いた同室の瀧本清君に感謝ずる.(昭和25年4月9日日本農藝化學大會にて講演した)
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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