弱毒ワクチンによるウイルス病の防除 (第3報) : ウイルス感染のショックによるトマト着果率の低下
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
第1報に引き続き, TMVのL系統によるトマト減収の原因について検討し, あわせてワクチン (Lの弱毒化ウイルス) による防除効果を調査した。(1) 幼苗時にLを接種したとき, 生育はかなり抑制された。またワクチン接種により, 初期生育はいくらか遅れたが後に回復した。(2) L接種後2〜3週間で全身感染が起り, この時期に開花中か, その直後に開花した花房で著しい着果率の低下が認められた。この低下は一時的なもので, L接種後1か月位で着果能力は回復した。(3) この現象は BOYLE and WHARTON にならつて, ウイルス感染によつて生ずるある種のショック反応として説明した。着果率は病徴を生じた葉の同化力の低下によつても影響されるようであつたが, ショック反応は葉の病徴と直接の関係はなかつた。(4) L系統によるトマト収量の減収率は, 第1花房の花芽分化時の感染では全体的な発病による同化量の減退が主因で27%, 定植直前の感染ではショック反応による第1〜2花房の着果不良が主因で16%, 第2花房開花時の感染では同じくショック反応による第3〜4花房の着果不良が主因で24%であつた。(5) ワクチンによる防除効果は, ワクチン接種7日後にLが侵入したとき十分ではなかつたが, 1月以上を経てLが侵入したときは極めて高く, 着果率, 収量ともに, 無接種の対照区およびワクチン単独接種区に劣らなかつた。(6) 平均1果重もL接種により減少したが, この点についてはこれまでの試験で必ずしも一致した結果は得られていない。
著者
関連論文
- (252) 指標ウイルス株によるトマトTMV抵抗性遺伝子の判定 (昭和54年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- アブラナ科植物に病原性あるタバコ・モザイク・ウイルス系統に関する研究 : 2. 寄主範囲
- (175) 2, 4-dioxohexahydro-1,3,5-triazine (DHT) によるPVXの予防ならびに治療効果 (昭和59年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- ダイズ矮化病
- タバコモザイクウィルスの強弱両系統, LおよびL_A, の感染植物におけるウイルス産生量の比較
- (213) キュウリ緑斑モザイクウイルスの弱毒株の作出と干渉効果 (昭和59年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- (250) トマト系TMVの強弱両系統(LおよびL_A)の比較 : 増殖量について (昭和56年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (243) トマト・プロトプラストにおけるTm-1遺伝子のTMV抵抗性発現と温度・光およびアクチノマイシンDの効果 (昭和55年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (243) TMV増殖抑制に関するトマトの抵抗性遺伝子Tm-1の特性 (昭和54年度 日本植物病理学会大会講演要旨)
- (195) トマト・プロトプラストのTMV-RNAによる感染 (昭和53年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (235) トマトTMV抵抗性遺伝子とTMV系統の変異 (昭和52年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (234) トマト・プロトプラストにおける遺伝子Tm-1によるTMV抵抗性の発現 (昭和52年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (213) トマト・プラストにおけるTMV抵抗性遺伝子について (昭和51年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 新弱毒ウイルスL_A237
- (7) 弱毒ウイルスL_A237について (昭和52年度地域部会講演要旨(秋季関東部会))
- ベノミル剤によるタバコモザイクウィルスとジャガイモYウィルスのタバコにおける病徴抑制
- (197) TMV および PVY の病徴発現に及ぼすベノミル剤の影響 (昭和62年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (37) ラテックスおよび赤血球凝集反応法による RDV 検定 (秋季関東部会講演要旨)
- (32) 弱毒ウイルスL_A237の理学的性質について (秋季関東部会講演要旨)
- イネ縞葉枯病ウイルス抗血清の利用法
- トマト条斑病の病原ウイルスとその変異系統について
- (249) 亜硝酸処理および熱処理によるキュウリ緑斑モザイクウイルスの弱毒ウイルス作出の試み (昭和56年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (34) WMVの弱毒系統の探索 (秋季関東部会講演要旨)
- (33) CGMMVの弱毒系統の作出と探索 (秋季関東部会講演要旨)
- (31) トマト系TMVの弱毒ウイルス(L_A), 温度感受性株(Ls 1), および親ウイルス(L)の外被蛋白質について(予報) (秋季関東部会講演要旨)
- (244) L_Y変異ウイルス株の病原性とトマトTMV抵抗性遺伝子型との関連について (昭和55年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- トマト系タバコモザイクウイルスの弱毒系統(L_A)の2・3の性質
- (148) トマトのTMV抵抗性因子とTMV系統の関係 (昭和49年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (23) トマトのTMV抵抗性とTMV系統の関係 (夏季関東部会講演要旨)
- タバコモザイクウイルス・トウガラシ系統の弱毒ウイルス作出とその利用
- 北海道のメロン(Cucumis melo L.)より分離されたsquash mosaic virus
- 北海道のメロン(Cucumis melo L.)より分離された5種類のウイルス
- 弱毒ワクチンによるウイルス病の防除 : (2) TMVワクチンの濃度と接種後経過時間の親ウイノンスのトマト威染に対する阻止効果
- (209) ジャガイモFウイルスのたんぱく質について (昭和47年度 日本植物病理学会大会)
- ナス1代雑種の早熟性を支配する因子
- トマトの芯止り型品種における連続的変異
- 栄養生長との関連における雑種ナスの果実生産力
- [83]ナスの低温育苗による種子子孫への後作用 : 日本育種学会第14回講演会講演要旨
- (144) タバコ・モザイク・ウイルスOhio系統の理化学的性質
- (166) トマト系TMVの温度感受性株, Ls1のトマト表皮細胞における挙動 (昭和53年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (6) トマト系TMVのある温度感受性株の性質 (昭和52年度地域部会講演要旨(秋季関東部会))
- (232) トマト系TMVの温度感受性株の分離と特性 (昭和52年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- タバコモザイクウイルスのトマト系統とその弱毒系統の病斑の型による判別
- (211) トマト系TMVとその弱毒ウイルスの比較 (昭和51年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (10) 弱毒トマト系 TMV (L11A) の外被蛋白について (昭和50年度地域部会講演要旨(夏季関東部会))
- (9) トマト系 TMV とその弱毒ウイルスの局部病斑による判別 (昭和50年度地域部会講演要旨(夏季関東部会))
- (192) 条斑えそを示すトマトから分離されるTMVの系統 (昭和50年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (23) トマトハウス内土壌からのTMVの分離 (夏季関東部会講演要旨)
- (3) TMV Ohio系統に対する弱毒トマト系TMV, L11Aの保護効果について (秋季関東部会講演要旨)
- 5. アブラムシによるウイルスの伝搬 : ジャガイモ葉巻病の伝搬について (C. 虫媒伝染)
- 弱毒ワクチンによるウイルス病の防除 (第3報) : ウイルス感染のショックによるトマト着果率の低下
- 馬鈴薯葉捲病バイラスとモモアカアブラムシの生長, 單爲生殖及壽命との關係について : 豫報 (昭和26年度秋季北海道部會)
- トマト育苗中の温度管理に関する研究 (第3報) : 花芽と栄養体の相対生長に及ぼす温度および施肥量の影響
- (24) 馬鈴薯天狗巣病について
- 北海道に於ける十字花科植物のバライス病 : (第1報)莖立菜のモザイク病 (昭和26年度秋季北海道部會)
- 馬鈴薯天狗巣病の寄主範圍 (昭和26年度秋季北海道部會)
- 午蒡のモザイク病について (昭和26年度秋季北海道部會)
- キュウリの生育と性表現におよぼす生長抑制剤(CCC)の効果の品種間差ならびに季節的変異