栄養生長との関連における雑種ナスの果実生産力
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
熟期その他の形質を衆にするナス6品種の,逆交雑を含まない2面交雑により,果実収量を栄養生長との関連において分析し次の結果をえた。 1) 果実収量は,15組合わせのF_1中,1組合わせのF_1を除きすべてヘテローシスを示した。その総成要素では,一果均量は同一基準の小果で収穫したにもかかわらず,F_1は一般に両親より高く,果数も一般にヘテローシスを示した。 2)果実収量および草重を対にして,直角座標で図示することにより,「民田」を共通親とする系列と,他の品種およびF_1の系列との2群に分けることができた。 3) この関係をR=(R/V)・Vなる式(Rは果実収量,Vは栄養生長量)で表わし,2群間の差はR/V構成の差により,各群内の差はVの差によることを示した。 4) 「民田」と「「久留米長」の肌合わせで,R/V構成のF_2分離を調査した結果,「民田」の高いR/V構成はひとつの遺伝形質であり,完全優性の形で遺伝することが確かめられた。 5) POWERS(1945)のトマト,ODLAND and NOLL(1948)のナスに関する資料を検討し,同様の結果がえられた。 6) 本実験を含み,これらの資料において最高の収量を示したのは,いづれもR/V構成の高い系統と,栄養生長が最大の系統との間のF_1であった。 稿を終えるに当り,種々御指導戴いた当研究室の宮下揆一室長,早瀬広司博士,並びに,本稿の御校閲を賜った,てん菜研究所の須藤千春博士に衷心より感謝致します。
- 日本育種学会の論文
- 1963-12-25
著者
関連論文
- 弱毒ワクチンによるウイルス病の防除 : (2) TMVワクチンの濃度と接種後経過時間の親ウイノンスのトマト威染に対する阻止効果
- ナス1代雑種の早熟性を支配する因子
- トマトの芯止り型品種における連続的変異
- 栄養生長との関連における雑種ナスの果実生産力
- [83]ナスの低温育苗による種子子孫への後作用 : 日本育種学会第14回講演会講演要旨
- 弱毒ワクチンによるウイルス病の防除 (第3報) : ウイルス感染のショックによるトマト着果率の低下
- トマト育苗中の温度管理に関する研究 (第3報) : 花芽と栄養体の相対生長に及ぼす温度および施肥量の影響
- キュウリの生育と性表現におよぼす生長抑制剤(CCC)の効果の品種間差ならびに季節的変異