除草剤CMMPに関する研究 (第5報) : 特に作用機構について (2)
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概要
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園芸用選択性除草剤CMMPの作用機構について検討した。1. CMMPと反応する葉緑体内の物質を解明するため, まずクロロフィルとの反応を検討したところ明らかに結合したことから, 葉緑体内のCMMP反応物質の一つはクロロフィルであることを確認した。2. ついでクロロフィルのどの部分と反応するのかをクロロフィリンを用いて検討したところ, CMMPはクロロフィリンとも反応したことから, クロロフィルのポルフィリン環と反応することが判明した。3. さらに葉緑体内のクロロフィル以外のCMMPと反応する物質を検索するため, 黄化植物抽出物質と, CMMPとの反応をこころみたところ明らかに結合したことから, CMMPはプロトクロロフィルもしくは蛋白とも反応するものと考えられる。4. CMMPと蛋白との反応は牛血清アルブミンとの反応で明らかに認められたため, 植物体内でもCMMPと蛋白とは反応しているものと推察される。5. CMMPの選択殺草機構が植物による解毒分解能の有無に関係するかどうかを, 植物抽出粗酵素液中物質とCMMPあるいはCMAとの反応量の差により検討したところ, 粗酵素液中では抵抗性植物でもCMMPの分解は認められなかつた。したがつて解毒分解能の差による選択性でないことを再確認した。6. ついで選択殺草機構を解毒剤利用により解明するため検討したところ, クロロフィリン散布はCMMP抵抗性植物の薬害を著しく低下させたが, 感受性植物では明らかでなかつた。7. したがつてクロロフィルの選択的生合成阻害が, CMMPの選択殺草機構に強く関連している可能性がある。8. なおトマトに対しCMMP処理後クロロフィリンの散布による薬害軽減作用は, グルコースあるいはシュクロース散布よりもはるかに有効であつた。
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