除草剤CMMPに関する研究(III) : CMMPの作用機構について
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概要
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選択性除草剤CMMPについて,その作用点および作用点における有機燐剤との相互作用を検討した。(1)CMMP感受性植物ホウレンソウ葉緑体を用いてHILL反応およびcyclic, non cyclic光燐酸化反応におよぼすCMMPの影響を検討した結果,それぞれ50%阻害濃度は2.7×10^<-6gt;M, 5.3×10^<-6gt;M, 1.4×10^<-6gt;Mであり,大差を認めなかった。したがってCMMPの主たる殺草作用点は,HILL反床および光燐酸化反応阻害であることが判明した。(2)つぎに各種CMMP感受性植物,抵抗性植物を供試し,HILL反応およびnon cyclic光燐酸化反応におよぼすCMMPの影響を検討した結果,いずれの植物も同様に強い阻害をうけることから,この反応系の抵抗力の差による選択性発現ではないことが明らかとなった。(3)HILL反応およびnon cyclic光燐酸化反応に対するethylthiometon, CMMP・ethylthiometon混合物の影響を検討した結果,明らかにethylthiometonのみでも供試植物すべてのnon cyclic光燐酸化反応を阻害し,またCMMPと共存した場合は相加的に阻害作用は高まった。このことは,従来のCMMP散布前後における有機燐剤使用による選択性消失作用に何らかの関係があるものと考えられる。(4)一方,cyclic光燐酸化反応におよぼすCMMPあるいは有機燐剤の阻害作用は明らかに認められ,両者を同時に添加した場合は,ethylthiometonではかなり阻害が高められた。このことも前と同様,CMMPの選択性消失の一原因となる可能性がある。(5)今後さらに多くの植物について,cyclicな光燐酸化反応が植物により異なるかどうかを検討し,CMMPの作用機構を明らかにしたい。終りに,終始懇篤な御教示を頂いた農業技術研究所の松中昭一博士に対し深甚な謝意を表する。
- 日本雑草学会の論文
- 1969-12-25
著者
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