球根作物の球形成に及ぼす温度の影響 (第3報) : フリージアの二階球形成に及ぼす高温処理の影響
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概要
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前報においてフリージアの球茎形成には二つの温度反応過程があり, それは花成の場合の春化現象に似ていることを報告した. そこで‘Rijnveld′s Golden Yellow’の木子を用い, 低温により誘起された球形成状態に対する高温処理の影響について実験を行なつた.1. 5°, 9°Cで20〜40日間低温処理した木子に対し, 25°〜35°Cで10〜40日間高温処理を行なつた. その結果低温処理による球形成状態は25°C以上の高温で低減した. そして低減の程度は, 温度が高いほど, 処理期間が長いほど大きかつた.2. 9°, 5°Cで102日間の長期間低温処理した木子は, 30°Cの20〜30日間処理で球形成はあまり抑制されず, 二階球を形成した.3. 低温処理した木子を, 中庸温度の20°〜21°Cに10〜30日間おいた後高温処理したところ, 低温処理直後に高温処理した場合に比べ, 球形成誘導の低減は少なかつた. したがつて低温の効果は20°〜21°Cで貯蔵する間にやがて定着するものと思われた.4. 低温処理前の高温処理は球形成を抑制し, 低温刺激の程度に応じて二階球形成率は減少した.5. 低温処理により誘起された球形成状態を高温処理により消去し, その後再度9°Cで30日間低温処理したところ, 木子は二階球を形成した.6. 以上の実験結果からみて, 低温により誘起された球形成状態は, 高温により消去し, その生理状態は量的な, そして可逆的のものと思われた. そしてフリージアの球形成でみられた前記の現象は, 花成における春化, 春化消去, 再春化現象に類似している.
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