球根植物の球形成に及ぼす温度の影響 (第1報) : 温度条件がフリージアの二階形成に及ぼす影響
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概要
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フリージアの球根を低温貯蔵すると二階球を形成する場合がある. そこで二階球形成と温度条件との関係を明らかにするため‘Rijnveld′s Golden Yellow’の木子を用いて実験を行なつた.1. 恒温条件で木子を貯蔵した場合, 二階球の形成は13°Cでもつとも進み, 2°C以下および20°C以上で貯蔵した区は, 二階球を形成しなかつた.2. 温度条件と処理期間とを組み合わせた区を設けて低温処理を行ない, それらの球を20〜22°Cで貯蔵した. その結果, 処理温度が2〜17°Cの区では二階球を形成し, 9〜10°Cでもつとも促進された. 2°C区では50日間処理では二階球を形成せず, 20〜21°C区では新球を全然形成しなかつた.低温処理期間の長い区ほど二階球の形成は促進され, 適温の9°Cでも10日間処理では二階球はほとんど形成されなかつた.3. 2〜9°Cで低温処理した木子を各種の温度条件で貯蔵したところ, 二階球形成は20°C前後でもつとも進み, 15°C以下では形成が遅れ, 5°Cでは二階球をほとんど形成しなかつた. そして球形成誘導が不十分な場合は21°C以上では二階球形成が抑制された.4. 以上の実験結果からみて, フリージアの新球形成には, 球を形成し得る生理状態の誘起される過程と, 茎が肥厚して球茎を形成する発育過程の, 二つの温度反応過程の存在することが認められた. そして第1過程の適温は9〜10°C前後の低温で, 第2過程の適温は20°C前後の温暖条件であると思われた.なお球形成誘導に関して低温と処理期間とは相乗的にしかもある限度までは量的に働くものと思われる.5. これらの特性は原種の Freesia refracta の原産地の気候に適応した性質と思われる. そして低温により球形成が誘起または促進される現象は, 初夏に球を形成する秋植え球根植物に広くみられる性質と思われ, この現象は花成の場合の春化現象に類似している.
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