フリージアの球茎発育に関する組織学的研究
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概要
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フリージア球茎の発達および成熟過程をあきらかにするため, 組織学および組織化学的方法を用い, 実験を行なつた.実験I. 催芽した‘ラインベルト•ゴールデン***ー’の木子 (約 1g) を9月18日温室に定植し, 翌年の5月21日まで1ないし2週間おきに掘り上げて, 新球茎の発達過程を組織学的に調査した.実験II. ガラス室で栽培したラインベルト•ゴールデン***ーの球茎 (約 5g) を3月から6月にかけて掘り上げ, 成熟に伴う茎頂分裂組織細胞のRNA濃度の変化を組織化学的に調査した.このうち, 6月に掘り上げたものは一定期間高温処理したのち低温 (15°C)に移し, 処理期間中のRNA濃度の変化を調査した.その結果はつぎのとおりであつた.1. 植え付け前の木子の頂芽は1枚のりん片におおわれ, 内部に5枚の葉原基をもつていた. このうち外側から4枚のものは, 発芽後にしよう葉となり, 最内部の1枚は最初の普通葉となつた.2. 催芽開始8〜9週間後, 普通葉をつけた節のうち下位から2〜4節の節間の皮層部柔細胞が急速な分裂を始め, 母球上に紡錘形の新球茎が形成された.3. 新球茎の肥大は主として皮層の肥厚によつて行なわれ, 中心柱はあまり大きくは関与しなかつた. 37週間の生育期間のうち, 最初の12週間の肥厚は細胞数の増加により, つぎの5週間の肥厚は細胞数の増加と細胞肥大によつて行なわれた. 最後の20週間の肥厚は, 主として細胞肥大によつた.4. 母球の貯蔵栄養に対する子植物の依存期間は約12週間であつた. この時期以後, 新球茎の柔細胞中の貯蔵でんぷん粒が急速に発達した.5. 茎頂分裂組織が球茎肥大に直接関与するのは生育のごく初期だけであり, 以後の肥大は皮層中に散在する分裂能力を持つた柔細胞の活動によつた. このため, フリージア球茎の肥大型は単子葉植物の茎の肥大型の一つである散在型肥大生長に入れるのが適当と思われた.6. 3月に掘り上げた球茎の茎頂分裂組織の細胞中には高濃度のRNAが存在した. この部分のRNAは掘り上げがおそくなるにつれてしだいに減少し, 高温処理の継続によつてほとんど消失した. 高温処理後, 発芽に好適な条件に移すとRNA濃度は急速に上昇した. この場合, 十分な高温を経過したものほど上昇速度は早かつた.
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