温度処理に伴うテッポウユリ球根茎頂部の組織化学的変化に関する研究
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概要
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テッポウユリ球根の, 発芽や開花におよぼす温度処理の影響と, 処理に伴つてみられる球根茎頂分裂組織細胞のRNA濃度と, 細胞分裂数の変化を, 組織化学的方法によつて調べた.1. メチルグリーンピロニン法で, 球根茎頂部組織を染色したところ, りん片が分化している部分の細胞の細胞質がピロニンによつて強く染色され, この部位にRNAが高い濃度で分布していることを示していた. 顕微分光測光法によつて, この部分のRNA濃度を測定したところ, 自然状態では6月以降, しだいに濃度が低下し, 8月中旬には, ほとんど消失することを示していた.2. 球根の茎頂分裂組織における細胞分裂は, 開花期以後, しだいにその数が減り, 7月以降はほとんどみられなくなつた.3. 茎頂分裂組織細胞にRNAが高い濃度で存在する早堀球根は, 堀り上げ後, 30°Cで30〜35日間高温処理をすることによつて発芽が促進された. この部分のRNAは, 高温処理によつて消失した.4. 夏期, 20°Cの制御環境下で栽培したテッポウユリは, 11月まで仔球のりん片の分化を続けた. そのため球根の発芽は大幅におくれた.5. 冷蔵処理の開始によつて, 球根の茎頂分裂組織細胞のRNA濃度は急速に高まり, それに続いて細胞分裂の開始がみられた.6. 冷蔵温度を, 3, 9, 15°Cとした場合, 細胞分裂の開始がもつとも早かつたのは15°C区であり, 3°C区はもつともおくれた. 15°C区では, 処理開始2週間後, 分裂数が最高となつた. 3°C区では, RNA濃度の上昇がみられたにもかかわらず, 分裂の開始は大幅に遅れた.7. 冷蔵処理した3区のなかで, 発芽が早かつたのは, 15°C区であり, 開花がもつとも早かつたのは, 9°C区であつた.
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