カキ果実の生理落果とエチレン発生量との因果関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
カキ果実の生理落果と内生エチレンとの因果関係を明らかにするため, 第一次落果の終了した満開後3〜4週間の果実を対象に種々の処理を行い, それらの果実からのエチレン発生量の推移と落果との関係を調査し, 以下の結果を得た.1. 土壌乾燥 (ポット•‘松本早生富有’) 及び遮光処理 (圃場•‘平核無’) 樹の果実は, 落果の0.5〜1日前から急激にエチレン発生量が多くなり, 落果直前の発生量は150〜300nl/果/0.5hに達した.2. ‘松本早生富有’にACCを1回散布した結果, エチレン発生量はACC濃度と比例的に増加し, 特に5,000ppm処理では無処理に比べて50〜150倍も増加したが,いずれの濃度でも落果しなかった. しかし, 5,000ppmのACCを5回散布すると落果したが, 1. で得られた落果前の条件とは異なるように思えた.3. AVG散布果のエチレン発生量は無散布果のそれより低かったが, 落果率には処理間差がなく, エチレン生成を抑制しても離層形成は進んでいることを示した.4. 果径肥大を連続的に測定した結果, 正常果は日変化をしながら順調に肥大したが, 落果する果実は落果の5〜6日前から肥大量は著しく減少した. 従って, 落果の原因はその頃に生じているものと思われる.5. 以上の結果から, 第一次落果終了後の果実の生理落果においては, 内生エチレンが落果の原因とは考え難い.
- 園芸学会の論文
著者
関連論文
- 2Dp-4 マツRubisco小サブユニット遺伝子とLHCP遺伝子のcDNAクローンの単離・同定及び明暗両条件下における発現
- イネホメオボックス遺伝子 OSH1 の発現は形質転換キウイフルーツにおいて形態変化を引き起こす
- リンゴには 2 つのタイプのホメオボックス遺伝子が存在する
- 22 乾物生産と養分吸収からみた果樹の生長特性(関東支部講演会要旨)
- 21 ^N連用による草生果樹園の施肥窒素の動態解析(関東支部講演会要旨)
- 10-9 草生管理のリンゴ樹に対する重窒素肥料の連年施用効果(10.肥料および施肥法)
- モモ果実のうまさと甘味に関係する要因
- カキ果実の生理落果に関する生理学的研究-4-カキの果実肥大が生理落果に及ぼす影響
- 果樹の葉内水分不足に関する研究 (第6報) : 葉の水ポテンシャルが温州ミカン樹の生育に及ぼす影響
- ナツミカンの凍害果実中のナリンジン含量の経時変化について
- 窒素栄養がカキの生理落果に及ぼす影響
- カキ果実の生理落果に関する生理学的研究-5-果実のオ-キシンと生理落果との関係
- カキ果実の生理落果に関する生理学的研究-3-平核無におけるAVG,ACC処理と生理落果との関係について
- カキ果実の生理落果とエチレン発生量との因果関係
- カキ幼果のエチレン発生量と果実内エチレン濃度との関係
- モモ樹の乾物重と養分吸収量の10年間の増加過程
- ウンシュウミカンに対するエチクロゼートの浮皮軽減効果について
- カキ′平核無′の生理落果防止技術
- ニホンナシ‘幸水’及び‘新高’のジベレリンテープによる裂果防止
- 果樹の葉内水分不足に関する研究 (第3報) : 土壌要因がカンキツ葉の Water potential に及ぼす影響について
- ウンシュウミカンの浮皮に及ぼすエチレンの影響