モモ樹の乾物重と養分吸収量の10年間の増加過程
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概要
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苗木から成木に至るまで, 10年間にわたってモモを栽培し, 経年的に解体調査を行って, 乾物生産面からの生長経過の特微と養分吸収量の推移について検討し, 次のような結果を得た.1. 総乾物重は5年生までは前年の2倍以上に増加したが, その後は樹齢とともに増加率が減少した. また,年間の乾物生産量は7年生までは毎年増加したが, その後は40kg前後でほぼ一定となった. これは果実収量が増加する反面, 7年生を境に樹体の増加量が減少したためである. 収穫果と葉は樹冠の拡大につれて9年生まで直線的に増加したが, 樹冠拡大が停止した11年生では収量もほぼ一定となり, 135kg(10a換算2.8t)になった.2. 地下部の乾物重の増加は, 地上部と同様7年生が最大であった. 樹齢の経過とともに太い根の割合が増加するが, 細根は7年生以降ほとんど増加せず, 11年生時の地下部に占める割合は5%以下であった.3. 無機養分含有率は地上部, 地下部とも新生部分ほど高い傾向があり, また, 葉や果実などの新生部分だけでなく, 旧枝, 幹, 地下部でも年次変化が認められた.4. 前年からの持ち越し量と養分吸収量の比率は要素によって異なり, 11年生ではN, P2O5においては両者がほぼ同等であるのに対し, K2Oは後者の比率が著しく高かった.5. 11年生時における1樹当たり吸収量は, N490g(10a換算10.4kg), P2O5 117g(同2.5kg), K2O 617g(同13.1kg), CaO 512g(同10.9kg), MgO 109g(同2.3kg)であった. その年次推移はN, P2O5, CaOは9年生以降ほぼ一定であるのに対し, 果実中含有率の高いK2Oは収量の増加とともに11年生まで増加していた.
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