果樹の葉内水分不足に関する研究 (第6報) : 葉の水ポテンシャルが温州ミカン樹の生育に及ぼす影響
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概要
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葉の水ポテンシャル(φ)が温州ミカン樹の生育に及ぼす影響について検討した.1. 8月下旬の果径日変化は, 日の出後30分の6:00a.m.ころに最大果径を示し, その後次第に収縮を始め, 夕刻に肥大に向かうというパターンが一般的であつた. 果径日変化の振幅は日の出前の葉のφ(φmax) が低くなるに従い大きくなつたが, φmaxが約-12barより低下すると出発時の果径にまで肥大回復しないうちに再び収縮を開始するため, 逆に振幅は小さくなつた.2. 樹体の water stress の影響は主幹と果実が最も受けやすく, 葉は-15〜-20barまで生育を続けた. なお, 果実の肥大停止時のφmaxは-7〜-8barであり主幹の肥大停止時のφmaxも果実のそれに近似していた.3. 果実肥大と1:00〜2:00p.m.に測定したφ(φmin) と葉内水蒸気拡散抵抗 (RL) との間にも密接な関係があり, 肥大停止時のφminと〇はそれぞれ-17barと16sec/cm前後であつた. しや光処理を行なうと, 肥大停止時のRLは16sec/cmと上記のRLと一致していたが, φmaxは-9barと少し低く, φminは果実肥大と余り密接な関係を示さなかつた.以上の結果, 果実肥大と1:00〜2:00p.m.のRLおよびφmaxの間に密接な関係が存在したが, RLは日射等の気象条件の変化に敏感に反応するので, 測定値の解釈には充分な考慮を払う必要がある. そこで, 実用的には, φmaxを目安に樹体生育を検討しても大過ないと思われる.
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