イネホメオボックス遺伝子 OSH1 の発現は形質転換キウイフルーツにおいて形態変化を引き起こす
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概要
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イネOSH1遺伝子はホメオボックス配列を有しており, その遺伝子産物はDNA結合活性を示すと考えられる.また, OSH1を過剰発現させたアラビドプシス, タバコの形質転換体において, 頂芽優勢の消失による花芽の増加, わい化, 葉の形態変化等が観察された.このため, ホメオボックス遺伝子は植物の形態形成機構の一端を担っていると考えられる.本報では, 果樹のわい化, 花芽形成等の形態形成機構を解明するため, OSH1をキウイフルーツに導入し, その形態変化を調べた.OSH1をカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター, 感染特異的(PR)プロモーター, ノパリン合成酵素(NOS)プロモーターの支配下でキウイフルーツに導入した.OSH1は35Sプロモーターの支配下でのみ, キウイフルーツに形態変化を引き起こした.形態変化が中程度の形質転換体は, 葉の縁が歯牙状となった.形態変化が大きい形質転換体は, 非常にわい性となり, 頂芽優勢が消失したと考えられる腋芽の伸長が観察された.また, 葉は小さく, 多くの切れ込みが入った形態となった.RNAブロット解析を行った結果, 形態変化の程度とOSH1の発現量との間に相関が認められた.これらのことから, 果樹においてもホメオボックス遺伝子が形態形成に関与していることが推察される.また, OSH1等の形態形成遺伝子により果樹の生育調節を行う場合は, 新たなプロモーターの開発が必要であると考えられる.
- 園芸学会の論文
- 1999-05-15
著者
-
松岡 信
名古屋大学
-
松岡 信
名古屋大
-
松田 長生
果樹試
-
福元 將志
果樹試
-
松岡 信
名大生物分子応答
-
松岡 信
名古屋大学生物機能開発利用研究センター
-
坂本 知昭
名大・高等研究所
-
松田 長生
果樹試験場
-
村上(嘉納) ゆり子
果樹試
-
村上 ゆり子
果樹試
-
福元 將志
果樹試験場
-
草場 新之助
果樹試験場
-
村上 ゆり子
果樹試験場
-
坂本 知昭
筑波大学農林学系
-
坂本 知昭
筑波大学農学研究科
-
坂本 知昭
東京大院農学生命科学研究科
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