ニンジン種子におけるプライミング中の幼根の突出に対する第三リン酸塩の高pHの影響
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概要
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プライミングに第三リン酸塩を用いると, 他の塩を用いるより処理中の幼根の突出が抑制されて好都合である. 本報告では, それが溶液の高pHによるのかどうか, ニンジン種子を材料として検討を行った.シャーレを用いたプライミング処理中の溶液のpHは, 処理開始後にK3PO4では低下し,NaClでは上昇したが, 7日目以後はK3PO4では9.1〜9.5, NaClではおよそ8.0の一定値が維持された. 溶液の浸透ポテンシャルは, 両塩とも処理開始直後におよそ0.1MPa低下し, NaClではその後ほとんど変化しなかったが, K3PO4では7日目以後NaClと比較して, -0.5, -0.75, -1.0MPa処理が0.1〜0.2MPa, -1.25MPa処理が0.3〜0.4MPaそれぞれ低かった.pHおよび浸透ポテンシャルの変化の影響を除くために溶液の掛け流し処理を行い, 処理中の幼根の突出を調査した. K3PO4およびNaClの-0.5〜-1.25MPa溶液の処理において, K3PO4では明らかにNaClより幼根の突出が抑制された. pH12および6の-0.5〜-1.25MPa溶液の処理において, pH12では明らかにpH6より幼根の突出が抑制された. pH6〜12の-0.75MPa溶液の処理において, pHの高さに応じて幼根の突出が抑制され, また, 7日目にはpHを12から6に変更すると, 3日後には幼根の突出は終始pH6溶液で処理した場合の水準に達した.ニンジン種子において, 第三リン酸塩によるプライミング中の幼根の突出の抑制には, 発芽過程が幼根の突出直前まで進行した後に溶液のpHが比較的高く維持されることが大きく関与し, また, 他の塩を用いるより浸透ポテンシャルが多少低くなることも影響していると考えられた.
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